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2023年の第1次産業の成長率は4.1%、第2次産業の成長率は4.7%、第3次産業の成長率は5.8%で、ここまでは経済全体の成長率5.2%との齟齬(そご)はない。第2次産業に属するさまざまな産業を見ると、まず発電量が前年より5.2%伸びているし、自動車生産台数は9.3%増加し、中でも新エネルギー自動車の生産台数は30.3%増加した。また、移動電話の端末の生産台数は6.9%増加し、太陽電池に至っては前年より54%も増えている。一方、粗鋼の生産量は横ばい(0.0%)だったが、鋼材は5.2%増加した。つまり、鉱工業の主要業種はおおむね高い成長を遂げており、第2次産業の成長率が4.7%より低かったとは思えないのである。第1次産業についても同様の検証を行うことができるが、ここでも4.1%伸びたことを疑わせるようなデータはない。
第3次産業の5.8%という数字についても同じように検証できればよいのだが、残念ながらサービス業に関する数字は鉱工業に比べて極端に少なくて検証はできない。ただ、一般に中国の第3次産業の成長率は第2次産業とかなり連動して動くので、5.8%伸びたというのは第2次産業の伸びからして不思議ではない。
低迷する不動産業、深まるデフレ懸念
では、中国経済に漂う不況感はいったいどこから来ているのだろうか。
その最大の要因は不動産業の低迷である。2023年の不動産への投資額は前年から9.6%減少し、不動産の販売面積も8.5%減少した。不動産投資と販売の減少は2022年から2年連続であり、底が見えない落ち込みである。
対外貿易も低調で、2023年の輸出は前年に比べて0.6%の伸び、輸入は0.3%の減少だった。
物価もデフレの方向に動いており、消費者物価指数は2023年の年間では0.2%上昇だったが、2023年12月には前年同期比マイナス0.3%、生産者物価指数は年間ではマイナス3.0%だった。
こうしたもろもろの数字から、中国経済の供給サイドは元気なのだが、需要が内需・外需ともそれに追いつかない状況だということが見てとれる。こうした場合には、過剰な生産能力や供給を減らすか、または需要増加を刺激することによって供給と需要をバランスさせるべきだが、次にみる失業問題を考えると、前者よりも後者を選ぶほうが望ましい。
失業者とは働きたいという意思と能力を持ちながらも就業できない人を指す。そうした人々が大勢いるような状況では経済の規模を拡大してより多くの人々が就業できるようにしたほうが望ましい。
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