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「人口減少」日本を救う戦略はこの2国に学べ!
時計、金融などでブランド力を発揮するスイス(時計見本市バーゼルワールド) ARND WIEGMANN-REUTERS
<大きいことはいいことか? 人口減少に頭を抱える前にやれることがある。国土の小ささや人口の少なさ、乏しい資源や厳しい環境をイノベーションへと転化させた圧倒的に強い小国の秘密。本誌4月10日号「小国の知恵」特集より>
世界経済フォーラム(WEF)の世界競争力ランキングにおいて、09年以降9年連続で第1位を獲得しているのがスイスだ。面積は約4万1285平方キロで九州と同程度である一方、人口は854万人で、1302万人の九州の6割強。国土の約7割を「ヨーロッパの屋根」といわれるアルプス山脈とジュラ山脈が占めている、天然資源にも乏しい「小国」だ。
一方で、各種の競争力ランキングで高い評価を得るだけでなく、国民の豊かさを表す指標となる1人当たり名目GDPでも8万345ドルと第2位(以下、各国とも17年数値)。3万8882ドルである日本の2倍以上を誇る。
さらに小規模で、国土の面積は日本の四国と同程度、人口では大阪府に満たないイスラエルはどうか。近年、「スタートアップ大国」「技術大国」としても注目を集めている同国の1人当たり名目GDPは3万7192ドルと、日本にほぼ並んでいる。
面積でも人口でも地理的にも不利なはずのこの2つの小国が、なぜ圧倒的な強さを持つのか。両国の歴史や環境、政策を読み解くと、人口減少に直面する日本が目指すべきものが見えてくる。
筆者は欧州の金融機関に日本の経営幹部として勤務した経験を持つが、スイスは欧州でも特に尊敬を集める国だった。国際競争力に加え、世界トップレベルの豊かさや安定感・安全性を備えている。人口が少ない、国土が小さい、天然資源が乏しいといった恵まれない内的要因を強烈な危機感とチャレンジスピリットに転化させ、グローバル市場に成長の活路を見いだしてきた。
国家レベルの競争力だけではない。個々の産業を見ても、精密機械、ライフサイエンス、金融・保険などで産業クラスター(産学官が一定地域に集積し事業連携を行う状態)を形成。食品のネスレ、時計のスウォッチ・グループ、保険のチューリッヒなどグローバル企業も数多く創出し、国外からもグローバル企業・人材を引き寄せてきた。
全寮制の寄宿舎を基本とするボーディングスクールなど世界の人材がスイスに学びに来る仕組み、そして本社機能や研究機関機能に特化し、グローバル企業がスイスに拠点を構える仕組み、さらにはインフラや生活水準などの高いクオリティー・オブ・ライフで人々がスイスに住み続ける仕組み──これらを構築することで、スイスは優れた事業・教育・生活環境を整備し、グローバル企業・人材を引き寄せてきた。
一方のイスラエルは近年、世界屈指の技術大国とも呼ばれる。世界最高峰の軍事技術を民間に転用し、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、自動運転、サイバーセキュリティーなど現代の「メガテック」で優位な地位を構築。さらには「小国」「陸の孤島」である不利な条件から、イノベーションを創造し、製造業よりはハイテク技術分野における開発段階という知識集約型産業に特化してきた。
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