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ChatGPTはリサーチの助手として有能か? 犯罪学者が検証
ChatGPTのビジネス・教育分野への進出は確実(写真はイメージです) Ascannio-shutterstock
<犯罪学の専門家である筆者が「トイレで犯罪に遭わないために必要なことは何か」をChatGPTに質問。使用してみて分かった長所・短所は?>
人工知能(AI)を開発する米企業「オープンAI」が開発した対話型AI「Chat(チャット)GPT」のユーザー数が爆発的に伸びている。質問を投げかけると、人間との自然な会話のように文章を返してくれる優れものだ。AIなら、さぞかし素晴らしい回答が出てきそうだが、果たしてそうなのか。以下では、話題沸騰のChatGPTが、リサーチの助手として、有能か無能かを検討したい。
まずは、リサーチの総論から。
ビジネスや行政のリサーチでは、鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目が重要である。
★鳥の目は、大所高所から物事の全体を俯瞰するマクロの視点。
★虫の目は、現場に密着し物事の細部を凝視するミクロの視点。
★魚の目は、時流に乗って物事の動向を追跡するトレンドの視点。
★コウモリの目は、逆転の発想で物事の常識を覆すリバースの視点。
筆者が関わっている学問の世界でも、「社会学」は鳥の目、「心理学」は虫の目、「歴史学」は魚の目から本質や真実を探る営みだ。ただし、社会学でも、虫の目が必要な「臨床社会学」や魚の目が必要な「歴史社会学」もあり、それほど単純な話ではない。心理学にも、鳥の目が必要な「社会心理学」がある。そこで、あえて社会学と心理学を区別するなら、社会学では最低2人の登場人物が必要だが、心理学では登場人物は1人でもいいということになろうか。
ハイレベルなリサーチを可能にする5つ目の視点
それはともかく、リサーチはアンケートや統計を用いる「量的調査」と、参与観察やインタビューによる「質的調査」に大別できる。量的調査は「広く浅く」というスタンスなので鳥の目、質的調査は「狭く深く」というスタンスなので虫の目だ。
さらに、本質や真実にたどり着くためには、時系列の視点、つまり魚の目も重要である。「歴史は繰り返される」からだ。ビジネスや行政では、この3つの視点に加え、コウモリの目も欠かせない。固定観念にとらわれていると、イノベーションが期待できないからだ。
「当たり前を疑う学問」と言われる社会学でも、コウモリの目は重要だ。例えば、社会学ベースの犯罪学は、社会を裏側から透視する学問である。言い換えれば、表通りではなく裏通りを歩き、ブライトサイドではなくダークサイドを照らすのが犯罪学だ。
筆者は、これら4つの視点に、さらにもう一つ付け加えたい。それはワシの目だ。鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目が、いずれもリアル空間(フィジカル空間)を見るのに対し、ワシの目は現実空間とは別のバーチャル空間(サイバー空間)を見る。こうしてハイブリッドな「5眼思考」を駆使すれば、ハイレベルなリサーチが可能になる。
★ワシの目は、サイバー空間でデジタル情報を解析するクラウドの視点。
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