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安倍元首相銃撃事件で次の段階に進んだ「自爆テロ型犯罪」
こうした本質を見て見ぬふりをしていては、状況は悪化していくだけだ。
そこで、こうした点を踏まえて、自爆テロ型犯罪を防ぐための対策を考えてみたい。
まず、短期的には「犯罪機会論」の導入が必須である。なぜなら、グローバル・スタンダードである犯罪機会論の普及が日本では相当に遅れているからだ。
犯罪機会論は、犯罪の動機を抱えた人が犯罪の機会に出会ったときに初めて犯罪は起こると考える。動機があっても、犯行のコストやリスクが高くリターンが低ければ、犯罪は実行されないと考えるわけだ。
犯罪機会論では、「領域性が低い(入りやすい)場所」と「監視性が低い(見えにくい)場所」で犯罪が起きやすいことが分かっている。そこから、犯罪機会論は、「ゾーニング(すみ分け)」や「多層防御」を提案する。この手法は、施設の設計だけでなく、通学路の安全、インターネットのセキュリティ、警備態勢などにも応用できる。
「ディフェンダーX」も方策の一つ
警備では、最悪を想定して、様々なシミュレーションを行うことが必要である。ドローンによる攻撃、暴走車の突入、3Dプリンターで製造された銃の発砲なども想定しなければならない。
暴走車の突入は、2008年に起きた秋葉原無差別殺傷事件が端緒となり、ローンウルフ(一匹オオカミ)型のテロで多用されるようになった。例えば、16年7月のニース、同年12月のベルリン、17年4月のストックホルム、同年6月のロンドン、同年8月のバルセロナ、同年10月のニューヨークといった具合だ。
安倍元首相銃撃事件の現場をゾーニングや多層防御の基準で検証すれば、犯罪機会論の浸透度がお分かりになるだろう。
すでに防犯カメラが設置されていたり、設置が可能であったりする場所では、「ディフェンダーX」という先端テクノロジーを導入することも一つの方策である。
ディフェンダーXは、ポリグラフ(俗称「うそ発見器」)や、離れていても心拍と呼吸を感知できるドップラーセンサー(電波センサー)のような生理学的視点から、精神的ストレスに起因する表情筋(顔の筋肉)の微振動を解析するソフトウェアである。これを防犯カメラに搭載すれば、犯罪企図者の「今ここ」での緊張状態を調べることができる。顔認証ソフトと異なり、顔のデータベースは必要ないので、人権上の問題は起こらない。
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