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「事件の起こる場所には共通点がある」犯罪機会論を構成する諸理論
ロンドン芸術大学では、状況的犯罪予防の視点からデザインした製品を次々と発表している。例えば、スポーツ用品企業プーマと共同開発した自転車は、盗まれにくい自転車だ。「ワイヤー錠」がフレームの一部になっているので、盗もうとしてワイヤーを切断すれば走行できなくなる。

アメリカでも、後れをとっていた犯罪学者が「犯罪の機会」の重要性に気づき始めた。1979年には、ラトガース大学のマーカス・フェルソンを主唱者とする「日常活動理論」が発表された。そこでは、①犯罪の動機を抱えた人、②格好の犯行対象、③有能な守り手の不在という三つの要素が同時に重なる場所で犯罪は発生する、と説明された。
フェルソンによると、日常活動理論の最初の論文は、投稿した六つの学会誌すべてから不合格と判定されたという。この時代、建築や都市計画の分野でよちよち歩きを始めた犯罪機会論が、まだ犯罪学の分野にはたどり着いていなかったことを物語るエピソードだ。
日常活動理論は、その後シンシナティ大学のジョン・エックによって、図1のように、対策に応用しやすい「犯罪トライアングル」へと進化した。それによると、内側の三角形は「犯罪発生要素」を示し、①犯罪者、②被害者、③場所という3辺から成る。一方、外側の三角形は「犯罪抑制要素」を示し、①犯罪者の監督者(親や教師など)、②被害者の監視者(同僚や警察官など)、③場所の管理者(店主や地主など)という3辺で構成される。

さらに、1981年には、サイモンフレーザー大学のパトリシアとポールのブランティンガム夫妻が「犯罪パターン理論」を発表した。そこでは、①自宅、職場(または学校)、商店街・歓楽街という三つの活動拠点、②三つの活動拠点を結ぶ三つの経路、③活動拠点や経路が互いに隣接する境界という場所のいずれかで犯罪は発生する、と説明された。要するに、犯人は土地勘があるというわけだ。
犯罪パターン理論は、犯罪者の日常活動から犯行地点を予測するという思考の流れだが、それを逆転させ、犯行地点から犯罪者の日常活動を推測するというのが「地理的プロファイリング」である。
地理的プロファイリングは、ブランティンガム夫妻の教え子であるテキサス州立大学のキム・ロスモが開発した。この捜査手法は、今や世界各国で、犯人の居場所を絞り込むのに活用されている。
もう一つ、犯罪機会論の重要な理論に「割れ窓理論」があるが、これについては、次回に譲ることにする。
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