- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- ウクライナ侵攻、もう1つの「厄災」...アフリカ「…
ウクライナ侵攻、もう1つの「厄災」...アフリカ「資源争奪戦」の欺瞞に満ちた実態
ロシアによるウクライナ侵攻はさらなる地政学的な問題を引き起こし、欧州連合(EU)やその他の国々はますますガスを求めてアフリカに殺到している。「アフリカの発展のためにはガスが重要であるという物語がありますが、それが完全に誤りであることはすでに白日のもとにさらされています」
EUがやって来て「アフリカよ、あなたたちのガスが必要だ。もっと欧州にガスを送って下さい」と要求する。「米国やEUがアフリカの大地にゴールドラッシュならぬガスラッシュを起こそうとしています。しかし、それはアフリカのコミュニティーのためになりません。私たちはそれにノーと言うためCOP27にいるのです」とバトナガルさんは言う。
UAEは1070人の代表団、うち70人が化石燃料ロビイスト
冷戦期、米国は欧州の同盟国が旧ソ連のエネルギーに依存するのを避けるため、中東の油田を供給源にするのを認めるように振る舞った。しかし1956年のスエズ危機で、米国は英仏が原油を確保するため帝国主義時代のように軍事力を行使するのを許さなかった。これを機に欧州は旧ソ連へのエネルギー依存を深めていく皮肉な結果となった。
国際環境NGO「グローバル・ウィットネス」によると、COP27の交渉にはシェルやBPなどエネルギー大手傘下の化石燃料ロビイスト636人が登録されていたという。昨年のCOP26から25%以上も増え、化石燃料産業の影響力が拡大していることを示している。
COP26に176人を派遣したアラブ首長国連邦(UAE)は来年のCOP28で議長国を務めるため今回1070人の代表団を登録。このうち70人が化石燃料ロビイストだった。合計29カ国が自国の代表団に化石燃料ロビイストを加えており、ロシアは150人の代表団のうち33人が化石燃料ロビイストで、UAEに次いで多かった。
その一方で、気候変動の影響を不当に受ける「南半球」の活動家、先住民族、その他の住民は高い渡航・宿泊費用、ビザの問題、開催国による抑圧的な行動によって事実上、COP27から締め出されている。「化石燃料産業のロビイストがCOP27に多く参加することは人類と地球の両方を犠牲にする歪んだジョークだ」とグローバル・ウィットネスは批判する。
脱炭素化の日、化石燃料のイベントばかり
バトナガルさんは「汚染者の彼らが気候変動の交渉の場にいます。気候変動の影響を受けている人々は来られなかったのに、汚染者たちがここですべての決定に影響を及ぼしているのです。脱炭素化の日(11日)も石油やガスなど化石燃料のイベントばかりが開催されました。これは本当に問題です。気候正義のコミュニティーとして非難します」と語気を強めた。
国際環境団体オイル・チェンジ・インターナショナルの報告書「日本の汚い秘密」は(1)日本は化石燃料事業に対する世界最大の公的支援国であり、19~21年に年平均106億ドル(約1兆4700億円)を提供(2)日本は世界最大のガス事業支援国でもあり、平均で年間67億ドル(約9300億円)を投じている――と指摘している。