李在明候補の格差是正策は、ベーシックインカムにとどまらない
韓国与党「共に民主党」の大統領候補に選ばれた李在明 Heo Ran-REUTERS
<すべての人に同じお金を渡すだけでは格差是正につながらないなどの批判を受けて、安い賃貸住宅や低利融資、有利な貯蓄などを公約に掲げている>
2022年3月に行われる韓国の第20代大統領選挙の候補者が次々と決まっている。韓国の進歩系最大与党「共に民主党」は10月10日、大統領選の公認候補に李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事(56歳)を選出した。李在明氏の累計得票率は約50.3%で、次点だった李洛淵(イ・ナギョン)元国務総理を11ポイント以上引き離した。
一方、11月4日には野党「国民の党」の安哲秀(59歳、アン・チョルス)党代表が来年の大統領候補に選出された(単独出馬、賛成92.18%、反対7.82%)。そして11月5日には保守系最大野党「国民の力」の公認候補に尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検察総長(60歳)が選ばれた。尹錫悦氏の累計得票率は約47.9%で、2017年の前回大統領選にも出馬した国会議員の洪準杓(67歳、ホン・ジュンピョ)氏(66)の41.5%を上回った。
今後大きな異変がない限り、この3人のうち一人、より正確に言うと「共に民主党」の李在明氏と「国民の力」の尹錫悦氏のうち一人が韓国の第20代大統領になる可能性が高い。韓国社会世論研究所が11月8日に発表した世論調査の結果によると、尹錫悦氏と李在明氏の支持率はそれぞれ43.0%と31.2%で、他の候補の支持率を大きく上回った(安哲秀氏:4.7%、正義党の沈相奵氏(62歳、シム・サンジョン、正義党の元党代表): 3.7%、金東ヨン氏(64歳、キム・ドンヨン、前経済副首相):1.4%。
また、世論調査会社リアルメーターが9日に発表した調査結果でも尹錫悦氏が46.2%と李在明氏が34.2%と2強の構図になっている(安哲秀氏は4.3%、沈相奵氏は3.7%)。
そこで、本コラムでは、李在明氏と尹錫悦氏を中心に各候補の主な選挙公約と選挙前後の韓国情勢を連続して紹介していく。今回はまず最も注目度が高い李在明氏の再分配政策の一部を紹介したい。
「共に民主党」の李在明氏の代表的な分配政策は言うまでもなく基本所得(ベーシックインカム、以下、基本所得)だ。彼は、2020年6月20日に出演したテレビ番組(MBC、100分討論)で、2020年5月に新型コロナウイルス感染症に関連して支給された緊急災難支援金により、消費が増え伝統市場を含めた地域経済が活性化したことを成功例として挙げながら、基本所得の導入の必要性を強調した
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