高齢者がより活躍できる社会を構築するには──同一労働同一賃金に基づいた処遇の改善や多様な定年制度を
定年後研究所が定年制度のある企業に勤務している40代・50代男女、および、定年制度のある企業に勤務し60歳以降も働いている60代前半男女、合計516人を対象に実施したアンケート調査(2019年6月4日)によると、「70歳定年」(70歳定年あるいは雇用延長)について「とまどい・困惑を感じる」(38.2%)や「歓迎できない」(19.2%)と回答した「アンチ歓迎派」は57.4%で、「歓迎する」と回答した「歓迎派」の42.6%を上回った。「とまどい・困惑を感じる」最も大きな理由としては「収入が得られる期間が延びてよいが、その分長く仕事をしなければならないから」(65.5%)が、「歓迎できない」の最も大きな理由としては「自分としては60歳あるいは65歳以降は働きたくないから」(65.7%)が挙げられた。年金の給付を含めた老後の収入さえ確保できれば、労働者の多くは60歳あるいは65歳定年を迎えて労働市場から離れ、余暇を楽しみたいと考えているだろう。しかしながら高齢者がおかれている現実は理想とは異なる。昨年、金融庁の金融審議会は、夫婦の老後資金として公的年金だけでは「約2,000万円不足する」という試算結果を示し、不足分を補うためには資産運用などの「自助」の充実が必要と訴えた。この結果を聞いた多くの労働者は、働き続けないと老後の生活が維持できないとため息をついただろう。
実際、介護資格学校「日本総合福祉アカデミー」の教室を運営する株式会社ガネットが2020年1月に実施した「定年後の働き方に関するアンケート調査」によると、回答者の80.6%が定年後、働かないことに対して不安を感じている(「とても不安に感じる」(39.2%)と「やや不安に感じる」(41.4%)の合計)ことが明らかになった(対象:定年退職を控える50代の男女319名)。そして、不安を感じる最も大きな理由としては「老後の生活資金」(91.8%)が挙げられた(対象:定年後に働かないことについて不安と回答した257名)。
定年後、働かないことに不安を感じますか
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