超円安の時代:目安が1ドル150円となる理由、住宅は持ち家がいい理由
海外の現地法人が販売代金として受け取った外貨は、従業員の給与や各種経費の支払いなどの形で現地に落ちる。利益についても、工場の更新などに用いられるので、多くが再投資され、日本には送金されない。
日本国内に工場があった時代は、製造業の業績が良くなると賃金が上昇し、それが国内の消費を誘発するので経済全体が上向いたが、海外生産の場合、賃上げを行っても、その賃金を受け取るのは現地の従業員なので、国内経済には寄与しないのだ。
内閣府の調査によると、海外で現地生産を行う企業の割合(2020年度)は67.8%に達しており、1990年の40.3%から大幅に上昇している。工場の海外移転が進むにつれて現地生産比率も上がり、2020年度は22.4%の製品が海外で製造された(1990年はわずか4.6%)。
ここまで海外生産比率が上昇すると、企業単体として利益が出ていても、日本のマクロ経済に対する効果は小さくなってしまう。確かに円安になれば、日本円ベースでの売上高や利益が増えるかもしれないが、これはあくまで企業決算ベースの議論であって、日本経済全体には目立った効果はもたらさない。
つまり日本経済にとっては、以前ほど円安がメリットではなくなっているという話だが、国内消費者に視点を移せば、円安は基本的にマイナス要因ばかりである。
日本はエネルギーのほとんどを輸入に頼り、食生活も輸入によって成り立っている。最近ではスマートフォンやパソコン、家電など高価格の工業製品まで輸入するようになっており、国民生活は輸入なしには成立しない。
つまり今の日本経済は、輸入価格の影響を受けやすい体質であり、実際、多くの国民が円安で生活が苦しくなったと感じている。
「良い円安」か「悪い円安」か
為替の変動についてはメリットとデメリットがあり、厳密に言えば、「良い円安」も「悪い円安」もない。
だが、基本的な経済構造の違いによって、通貨安がメリットをもたらしやすいケースとそうでないケースに分かれるのは紛れもない事実であり、今の日本は確実に後者ということになるだろう。
これまでの日本では、基本的に円安を求める声のほうが圧倒的に大きく、円安懸念の大合唱になるというのは大きな変化である。
いくらの為替レートが適正なのか判断するのは難しいが、少なくとも円安がこれ以上進んだ場合、輸入物価上昇による国民生活への悪影響が大きくなるのはほぼ間違いない。
では、今回の円安はどこまで進むのだろうか。
先ほど説明したように、円安の基本的要因となっているのは日米の金融政策の違いなので、この状態が維持されることを前提に議論を進めていく。為替は市場で決まるものであり、いつの時点でいくらになるのか正確に予想するのは原理的に不可能である。また、どの要因に着目するのかによっても結果は違ってくる。
ここでは貿易による実需の取引を軸に検討してみたい。
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