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「イギリス人は階級が9割」......じゃない!
■格差への怒りはむしろ薄れる
一見分かりやすく感じられる彼らだが、実際のところはそんなに単純でもない。ジョンは典型的な上流階級の子供に見える。気取ったアクセントで話し、必要以上に正装し、狐狩りをし(21歳で)、考え方はひどく保守的だ(ストライキは非合法化すべきだと14歳で言う)。上流の上流であるオックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジに進み、上流の上流である法廷弁護士になった。彼についてこれしか情報がなければ、簡単に嫌いになれるだろう。
ところがジョンの言葉には知性と見識がある。人種差別が当たり前だった時代(1971年)に彼は、人間は自らの力で変えられないものによって差別されてはならないと話している(つまり人間は、その行動や言葉によって判断されるべきだという)。また自分の人生は恵まれているので、できるだけのことをなし遂げて社会に還元するのが自分の責任だとも語っている(イギリスを離れて外国で高収入を得て暮らすのは、道徳的に誤っていると考えている)。
その後、ジョンは(共産主義崩壊後に困窮していた)ブルガリア支援の団体を設立し、その活動に多くの時間とエネルギーを費やすようになる。彼は銀のスプーンを口にくわえて生まれてきたような典型的な上流階級の人間に見えるけれど、母親がブルガリア出身で、9歳で父親に死なれ、母親が働いて息子の学費を工面しなければならなかったことが明らかになる。
彼と同じ私立学校出身のアンドルーは、ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジで学び、法律家になる。暮らしは裕福だが、彼も思慮に富み、自分の幸運への感謝を欠かさない。彼はたとえば、体制側の人々が自分の子供を私立学校に入れることで、公立学校の窮状に無関心になりがちな点を心配する。
彼の話を聞いていると、僕が抱く階級格差への怒りはむしろ薄れていき、「自分に与えられたチャンスを利用して最善を尽くした『いいやつ』じゃないか」などと思ってしまう。
ドキュメンタリーに登場する全員について、面白い話をすべてここで紹介するのはとても無理だ(本当はそうしたいところだけれど)。あまりにも複雑すぎる。
そしてこれこそが、この番組がさりげなく、力強く伝える重要な点だと思う。階級は運命であり、育った環境や話し方、装いで人間を理解できると、僕たちは考えるかもしれない。
いや、そんなことはできっこない。僕の新しい「友人たち」が教えてくれたように、人間の生活、そしてイギリス社会は、はるかに複雑だ。
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