コラム

イナゴの大群、新たに大発生の予兆。国連「資金がない。駆除できなくなる」とSOS

2021年01月27日(水)19時47分

コロナ禍にも苦しむ

今、援助が期待できる先進国は、コロナ禍に苦しんでいる。どれだけ支援が可能だろうか。

発展途上国の人々に、いかにワクチンを渡すかも緊急の課題なのに。

エチオピア、ソマリア、ケニアでも、感染者や死者が報告され、感染は広がりを見せている。イナゴの危機に加えて、コロナ禍。さらに内戦が続く国もある。

昨年11月に起こった巨大サイクロンGatiは、気候変動のせいであるという意見もある。地球は2021年も試練の年であるに違いない。

それでも「トンネルの向こうに光が見えている」という国連職員の言葉を信じて、なんとか前に進めないものだろうか。

<参考記事>
(筆者の執筆)イナゴの大群は今どうしている? 5000億匹との戦いと、『ネイチャー』最新研究「集合フェロモン」で、遺伝子操作問題
(共同通信/Sankei Biz)アフリカ大陸、富豪3人が富を独占 貧困層6.5億人の資産より多い
(読売新聞)日本の医療用焼却炉、ケニアのコロナ対策に一役...感染ゴミの処理支援
国連食農機関(FAO) 駐日連絡事務所 (日本語資料・お問い合わせ)
<執筆参照記事>
https://news.un.org/en/story/2021/01/1082512
http://www.fao.org/emergencies/fao-in-action/stories/stories-detail/en/c/1370172/
http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html
https://www.reuters.com/article/kenya-locusts/kenya-braces-for-return-of-devastating-locust-swarms-idUSL8N2JU1L8
<最新の詳細データ>
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/562/en/DL507e.pdf

*  *  *  *  *

【イナゴの表記について】

この被害を報じる記事では、よく「サバクトビバッタ」と表記されています(サバクワタリバッタ、サバクバッタ、エジプトツチイナゴとも呼ぶそうです)。

この記事ではあえて、日本人が昔からもっている言葉を優先しました。

イナゴはもともと「稲子」と言われ、「稲を食べる害虫」を指しました。一般にはマイナスのイメージを含む言葉です。バッタには、一般的にこのイメージはありません。ただ学術的に分類しようとすると、異なってきます。

たとえ規模は違っても、日本語には伝統的に「イナゴの群れが襲ってくる」という表現はありますが、「バッタの群れが襲ってくる」という表現はありません。この記事は、いかに人々が害と戦っているかを伝えるのが目的です。ご了承ください。

詳細な説明をしますと。

ここでは複数の言語が関わってくるので、よけいにややこしいです。群をつくり長距離を飛び、広域で破壊的なまでに作物を荒らすようになったものは、フランス語ではcriquet、英語ではlocustと言います。

しかし、日本には歴史的にここまですさまじい蝗害が存在しなかったらしいためか、これにぴったり相当する言葉がありません。

聖書や中国の歴史書など、広域で破滅的な被害が描写されている外国の文献には、「イナゴ」の言葉が使われてきました。

プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。個人ページは「欧州とEU そしてこの世界のものがたり」異文明の出会い、平等と自由、グローバル化と日本の国際化がテーマ。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使インタビュー記事も担当(〜18年)。ヤフーオーサー・個人・エキスパート(2017〜2025年3月)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』新潮社、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省庁の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story