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文在寅大統領は何がしたいのか、なぜ韓国はGSOMIAで苦しむか
その中でも特に、ウクライナが、EUの加盟国候補になるための最初のステップである「連合条約」をEUと結んだのは、ロシアに強い衝撃を与えた。ウクライナの首都キエフは、ロシアの発祥の地となっている。
それは兄弟の決裂であるかのようだった。このために、2014年にロシアが、選挙結果という名目で「クリミア併合」を行ったのは、それほど昔のことではない。
こうしてプーチン大統領は、EUに対抗すべく、同じく2014年に「ユーラシア経済連合(EAEU)」を立ち上げた。モデルはEUである。
現在、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニアが加盟国である。これは小さいながらも「連合」である。「連邦」とも訳せる。元ソ連のメンバーたちなので、「連邦」のほうがいいかもしれない。なので、他の組織よりは結束力が強い。様々な場面で核となることのできる組織である。
そして、上海協力機構と加盟国がかなりかぶっている点が重要だ。「様々な場面で核となる」には、この機構も入っている。
これは、ロシアが大西洋の方を向きながら、ヨーロッパとアメリカと対峙する試みであると言っていいだろう。
中国の一体一路とTPP
一方で、太平洋の方を向きながら、アメリカに対峙する試みがあった。
それは、2013年に発表された、中国の「一帯一路構想」である。
このころオバマ政権では、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)構想と各国との交渉が着実に進んでいたのである。
翌年2015年には、TPP協定の全体が暫定条文の形で初めて公表された。この同じ年に、プーチン大統領と習近平国家主席は、「ユーラシア経済連合」と「一帯一路構想」を連携させるとする共同声明を発表した。
「上海協力機構」では、ロシアと中国が共にある。つまり「ユーラシア経済連合」と「一帯一路構想」の話し合いは、この機構の舞台で話し合えると言っていい。
ただし、「上海協力機構」は、軍事的性格を帯びていることは要注意である。2007年には、6カ国による初の合同軍事演習(平和への使命2007)を行った。アメリカとの軍事も含めた対立が深まるに連れて、「上海協力機構」の重要性に注意する必要が出てきた。
近年では、2017年にはインドが加盟し、現在はウズベキスタン・インド・パキスタンが加わって8カ国である。オブザーバー、対話パートナー、参加申請国、客員参加など、どんどん関連国の数が増えている。だからこそ中国は、ここで「新しい多国間貿易システムをつくろう」と提唱したのだろう。
韓国の「ユーラシア・イニシアチブ」
韓国はここにどうからむのだろうか。
朴槿恵・前大統領は、このような動きを受けて、2013年「ユーラシア・イニシアチブ」という新しい戦略構想を提案した。
メインの計画は、釜山を出発し、北朝鮮、ロシア、中国、中央アジア、欧州を貫通する『シルクロード・エクスプレス』を実現することだ。
もともとの目的は、北朝鮮をどう国際社会に編入させるかという構想から始まったという。過去の対米一辺倒の外交から抜け出し、鉄道・ガス管・送油管などを通じてロシアと連係すれば、北朝鮮を自然に経済的協力網に組み込めると考えたというのだ。
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