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今も気に入らない女性はなぶり殺し...「タリバンは変わった」の大間違い
大学で開かれたタリバン支持集会でもタリバン兵の手には銃が THE NEW YORK TIMESーREDUX/AFLO
<女性の人権の尊重などソフト路線をアピールするタリバンだが、アフガン人にとっては彼らの二枚舌は常識だ>
8月にアフガニスタンの首都カブールを制圧しほぼ全土を支配下において以来、タリバンは外国メディアに対し「われわれは誰に報復するつもりもない」「誰も恐れる必要はない」と述べ、特に懸念される女性の人権についても「イスラム法の範囲内」で尊重する、女性の就学も就労も認めると断言した。
日本のメディアはこれを好意的に報じ、茂木外相も9月5日のNHK『日曜討論』で「かつての厳格なイスラム統治から一線を画して、イスラム法の範囲内だと言いつつ、表現の自由や女性の権利に言及するなど、過去にはなかった融和的な姿勢を示している」と評価した。
しかしアフガンの現状とタリバンの過去、そしてイスラム法とは何かを認識すれば、その主張を額面どおりに受け取り、タリバンは変わったと楽観することなどできない。
最近もアフガンでは女性がタリバン兵に惨殺されたという報告が相次ぐ。ゴル州では妊娠中の女性警官が夫と子供たちの前でなぶり殺しにされた。ファルヤブ州では食事を作るよう命じられたものの貧しくて材料がないと訴えた女性の家に手榴弾が投げ込まれ、女性は殴り殺された。
ジャーナリストや人権活動家、判事、シェルターの運営者など、タリバンから脅迫されたため隠れて息を潜めるしかない女性もいる。国外脱出できた人々はごくわずかだ。夫を亡くし外出も仕事も禁じられた女性は食べ物の入手すらままならない。娘をタリバン兵に差し出せと言われ、取る物も取りあえず逃げてきたという女性もいる。
タリバンの二枚舌はアフガン人の常識
安全が完全に確保されるまで働く女性は家にとどまれという命令について、タリバンの報道官は「これはあくまでも一時的措置だ」と主張する。しかし1996年、タリバンがアフガンで政権を奪取した際にインタビューをしたCNNの看板アンカーの1人であるクリスティアン・アマンプールは、タリバンはその時も同じことを言っていたと警鐘を鳴らす。
国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの女性権利局で暫定共同局長を務めるヘザー・バーも同様の指摘をし、「タリバンが実権を握っていた数年間に治安がよくなり女性が自由になる瞬間など来なかった。アフガン女性たちは今回もそのような瞬間は来ないと考えている」と述べている。
数十年間タリバンを見てきたアフガン人にとって、タリバンの二枚舌は常識だ。アフガン人は99%がイスラム教徒であり、「イスラム法の範囲内での女性の人権」の意味も知っている。
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