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デジタル紛争の新たなステージ:イスラエルとハマスの情報戦が示すサイバー戦の進化
多くのSNSプラットフォームで、ハマスに関連するアカウントが排除されているが、SNSは単体ではなく、総体として活用されており、特定のSNSプラットフォームからアカウントを排除してもその影響力を消すことはできない。2020年のアメリカ大統領選において、大手SNSプラットフォームや関係機関は偽情報を対策を講じ、ロシアなどの干渉排除を試みた。しかし、翌年2021年1月にはアメリカ連邦議事堂が暴徒に襲撃されるという未曾有の事態を招くこととなった。大手プラットフォームから排除された人々は小規模プラットフォームに集まり、そこでの発言が大手プラットフォームに拡散していくという構造ができていたのだ。アメリカのシンクタンクNEW AMERICAが明らかにしている。
ハマスのアカウントはTelegramでは排除されておらず、情報発信の中心となっている。ハマスの軍事部門アル・カッサム旅団のフォロワーは70万人を超えており、GAZA NOWはおよそ200万人に増加した。関連するアカウントのフォロワーも軒並み増加した。
Telegramには画像や動画の他に、寄付の依頼といったものもある。コンテンツは進化しており、迅速化かつ高度になって人々の注目を集めやすいものになっている。
ちなみにTelegramのアメリカの利用者は連邦議事堂襲撃事件のあった2021年1月以降、増加しており、増加した利用者の多くが、後述するように現在の社会体制に不満を持つ層が集まっている可能性が高い。
もともとハマスは1対多のコミュニケーションを好む傾向がある。ナラティブを厳しく管理して統制のとれたメッセージを伝えることを重要視しているためだ。この点でも多対多になりがちな他のSNSよりもメッセンジャーであるTelegramの方が適している。Telegramに投稿されたコンテンツはハマスの支持者たちが他のプラットフォームに拡散する流れは彼らの方向性に合致している。
なお、今回の紛争では前述のように偽の画像や動画がたくさん投稿され、すでにさんざん記事になっているので、本稿では個別の偽情報については割愛させていただく。
多数の偽画像や動画はいくつかの要因がかさなっている。ウクライナ侵攻の際にも同様の現象は見られた。おそらく今後なんらかの紛争が起きた際には同様のことが繰り返されるだろう。軍事的衝突は世界に拡散しにくくなっているが、ネット空間ではサイバー攻撃、世論操作、憎しみの連鎖が瞬く間に世界に広がる。
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