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日本が完全に出遅れた第三次プラットフォーム戦争
日本は全くと言ってよいほど報じられないが、フェイスブックが提供する無償インターネットサービスFree Basicは、インターネットが普及していない世界63ヵ国にネットアクセスをもたらしている。ただし、それはフェイスブックが提供、管理するサービスのみであり、それ以外の利用は有償となる。偏ったサービス内容となり、「サイバー主権+統制されたインターネット」を主張するグループが自国内で行っていることと同じことをフェイスブックは複数の国で同時に行っていることになる。
フェイスブックやグーグルのような巨大プラットフォーム企業はグローバルに企業価値を増大させるための「サイバー主権+統制されたインターネット」を展開しており、これはアメリカを中心とする「自由で開かれたインターネット」グループの価値観とは異なるが、ある程度目をつぶって妥協しなければ中国を中心とする「サイバー主権+統制されたインターネット」グループと対抗できなくなる。
本末転倒とも言える事態となっているわけだが、これは現状避けられないことかもしれない。小宮山功一朗は東大先端研創発戦略研究オープンラボ(ROLES)のレポート「サイバー空間と 民主主義の断層」の「4.2 テックジャイアントとの対峙ではなく妥協」で巨大プラットフォーム企業との妥協は対中国という観点でも必要になると指摘している。
こうした経緯で2014年頃からネット上のガバナンスの中でのプラットフォームの重要性が強く意識されるようになり、マルチステークホルダーを取り込んだ組織の活動が目立つようになる。
2018年、アメリカのシンクタンクNew America は、レポート「The Digital Deciders」(の中で「自由で開かれたインターネット」と、「サイバー主権+統制されたインターネット」のどちらにも属さない同時に第3のグループ「デジタル・ディサイダーズ」(多くはグローバル・サウス)の台頭について分析した。インドなどの「デジタル・ディサイダーズ」の立場はそれぞれ異なっており、二極のどちらに動くかは流動的であるとされた。
だが、実際には二極の「自由で開かれたインターネット」を標榜するグループ(グラフ右上)がじょじょに「サイバー主権+統制されたインターネット」に近づいている(2014年から2018年にかけてグラフ左下に移動)。EUのGDPRなどの規制などがこの傾向を後押ししている。
防衛研究所の原田有が、「サイバー空間での規範形成に向けた取組の現状と展望に関する実験的考察」でゲーム理論の枠組みを用いて興味深い考察をしている。自由主義圏(「自由で開かれたインターネット」)と権威主義圈(「サイバー主権+統制されたインターネット」)の争いはゼロサムではなく、協議調整可能であるとし、どちらにも相手の主張をある程度受け入れる余地があると指摘している。実態として「自由で開かれたインターネット」でも国家による規制が進んでいることを考えると、協議調整可能な余地はあり、広がっていると考えられる。権威主義化の進むインドを自由主義圏が自陣営に取り込もうとしているのも、この流れだと理解しやすい。
そもそも前述のように、自由主義圏のマルチステークホルダーである巨大プラットフォーム企業が世界に展開しているのは、「サイバー主権+統制されたインターネット」なので自由主義圏はすでに妥協しているとも言える。
なお、New America はグーグルから多額の資金を得ており、グーグルに批判的な声明を投稿した研究員とそのグループを解雇している。そのせいか、このレポートには意図的に「自由で開かれたインターネット」を称揚している傾向が見られる。
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