金正恩氏、ＡＩ搭載自爆ドローン試験を視察 早期警戒機も初公開

３月２７日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記はＡＩ（人工知能）技術を搭載した自爆ドローン（無人機）の試験を視察し、無人操縦とＡＩ能力は現代の兵器開発における最優先事項でなければならないと述べた。国営の朝鮮中央通信（ＫＣＮＡ）が２７日に伝えた。平壌で２月１６日撮影のＫＣＮＡ提供写真（２０２５年　ロイター）

By Jack Kim

[ソウル ２７日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記はＡＩ（人工知能）技術を搭載した自爆ドローン（無人機）の試験を視察し、無人操縦とＡＩ能力は現代の兵器開発における最優先事項でなければならないと述べた。国営の朝鮮中央通信（ＫＣＮＡ）が２７日に伝えた。

金氏は陸上と海上のさまざまな戦術目標や敵の活動を探知できる新しい偵察ドローンも視察。加速する軍事用インテリジェント無人航空機（ＵＡＶ）競争で最前線に立つため、協調的な長期国家プログラムを推進することの重要性を強調したという。

北朝鮮はまた、老朽化した防空システムを改善する可能性のある早期警戒機（ＡＥＷ）を国営メディアを通じて初めて公開。写真には、エンジン４基とレーダードームを搭載した大型航空機のドアに向かって階段を上ったり、低空飛行する同機を眺めたりする金氏が写っている。

商業衛星の画像を使ったこれまでのアナリスト報告によると、北朝鮮はロシア製貨物機「Il-76」を早期警戒用に転用している。

英シンクタンクの国際戦略研究所（ＩＩＳＳ）は昨年９月の報告書で、このような航空機は朝鮮半島の山がちな地形によって制限されることもある既存の陸上レーダーシステムを補強するのに役立つと指摘。しかし、ＡＥＷは１機では不十分であり、北朝鮮はＡＥＷをさらに増やすために他の貨物機を犠牲にしなければならないリスクがあるとした。

韓国軍は北朝鮮のＡＥＷについて、運用能力はまだ不明としつつ、その外観から「大きくて重く、おそらく撃墜されやすい」ことが分かると指摘。ロシアから支援を受けている可能性を問われると、報道官は「ロシアが内部システムや部品に何かしら関与している可能性がある」と答えた。

ＫＣＮＡによると、金氏はまた、偵察、情報収集、電子妨害、攻撃システム向けに新たに開発された機器も視察した。

公開された写真には、固定翼のＵＡＶが戦車型の標的に照準を合わせた後、爆発炎上する様子が写っている。金氏が米国の「RQ-4グローバルホーク」に似た無人偵察機とみられるものの付近を側近らと歩いている写真も配信された。

ロシアの対ウクライナ戦争に派遣された北朝鮮軍はドローン戦に従事し、貴重な戦場経験を積んだと考えられている。