UBS、規制強化回避へ譲歩案提示 投資銀行縮小など=関係筋

スイスの金融大手UBSは投資銀行部門の規模縮小や一定の資本積み増しにより、規制強化の回避を目指していることが関係筋の話で明らかになった。FILE PHOTO: A UBS logo is pictured on the branch of the Swiss bank in Lucerne, Switzerland, June 14, 2024. REUTERS/Denis Balibouse/File Photo
Ariane Luthi Oliver Hirt
[チューリヒ 26日 ロイター] - スイスの金融大手UBSは投資銀行部門の規模縮小や一定の資本積み増しにより、規制強化の回避を目指していることが関係筋の話で明らかになった。
UBSは2年前にクレディ・スイスを買収したことで、スイス国内で唯一のグローバル金融機関となった。スイス当局は安全性を高めるために、UBSに追加の資本増強を求めている。
2人の関係者によると、UBSは過剰な資本規制を課されることで株価が下落し、買収の標的となることを懸念している。特に富裕層向け事業は、米モルガン・スタンレー、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、英HSBCといった金融大手にとって魅力的となる可能性があるという。
UBSには現在、海外事業に対して60%のリスクウエートが適用されているが、スイスの金融規制当局はこれを100%に引き上げるよう求めている。そうなれば、UBSはクレディ・スイス買収前と比べて、400億ドル以上の自己資本の積み増しが必要になる可能性がある。
こうした事態を避けるためにUBSは水面下で規制当局に働きかけを行っている。2人の関係者によると、UBSは譲歩案として、投資銀行部門を事業全体の30%程度に抑えることを提案した。
株式や債券の取引、企業への助言などを手がける投資銀行部門は、市場変動の影響を直接受けるため、他の事業よりもリスクが高いと見なされている。
別の案として、資本増強額の抑制も検討されている。UBSはクレディ・スイスの買収と新たな国際規則の導入により、190億ドルの追加資本が必要になると見積もっている。関係筋によると、UBSはさらに50億ドルを追加する用意があるという。
関係筋はUBSが本社移転も含め、あらゆる可能性を検討していると明かした上で、スイスを離れることはないとの見方を示した。