ベトナム、対米関税引き下げへ スターリンクの試験サービスも許可

ベトナム政府は、米国からの輸入品に課す関税を一部引き下げる。米国の関税発動による打撃を回避することが狙い。ダナンで2020年3月撮影(2025年 ロイター/KHAM)
Khanh Vu
[ハノイ 26日 ロイター] - ベトナム政府は、米国からの輸入品に課す関税を一部引き下げる。米国の関税発動による打撃を回避することが狙い。液化天然ガス(LNG)や自動車などが対象になる。ベトナム財務省幹部が明らかにした。
同国の昨年の対米貿易黒字は1230億ドル超。ファム・ミン・チン首相は先にLNG、農産物、ハイテク製品など米国からの輸入品に対する関税を見直す考えを示していた。
財務省幹部が25日遅くウェブサイトに掲載した声明によると、米国から輸入するLNGに対する関税を5%から2%に、自動車関税を45─64%から32%に、エタノールに対する関税を10%から5%にそれぞれ引き下げる。
同幹部は「貿易相手国との貿易収支を改善」することが狙いと説明。米国とベトナムは包括的戦略パートナーシップを結んでいるが、自由貿易協定(FTA)には調印していないと述べた。
ベトナムは現在、米国産LNGを輸入していないが、今後のLNG発電所の稼働に向けて米国の供給業者と協議を進めている。
同幹部によると、米国産エタンに対する関税も撤廃する。関税引き下げに関する法令は今月中にまとめ、直ちに発効する予定。
米国産の鶏もも肉、アーモンド、りんご、サクランボ、木製製品も関税引き下げの対象になる。
トランプ米大統領は複数の国に対して4月2日に相互関税を課す見通しだが、一部の国については減免する可能性があるとしている。
また、ベトナム政府は26日、米宇宙企業スペースXが衛星通信サービス「スターリンク」を国内で試験的に開始することを許可したと発表。スペースXはスターリンクの所有権を完全に維持できるという。
一部のアナリストは米関税による打撃を回避することが狙いの1つだと指摘している。