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米のウクライナ鉱物資源協定、初期合意は簡略化も 詳細後回し

2025年02月20日(木)12時35分

 2月19日、トランプ米政権は、ウクライナとの鉱物資源に関する協定について、早期に成立させるためにまずは簡略化した合意を結び、ウクライナの膨大な資源のうちどの程度を米国が所有するかなど、詳細な条件交渉は後回しにする可能性がある。写真左はウクライナのゼレンスキー大統領、右は米トランプ大統領。ニューヨークで昨年9月撮影(2025 ロイター/Shannon Stapleton)

Erin Banco Andrea Shalal

[ニューヨーク/ワシントン 19日 ロイター] - トランプ米政権は、ウクライナとの鉱物資源に関する協定について、早期に成立させるためにまずは簡略化した合意を結び、ウクライナの膨大な資源のうちどの程度を米国が所有するかなど、詳細な条件交渉は後回しにする可能性がある。関係者2人が19日、ロイターに明らかにした。

ウクライナのゼレンスキー大統領が先週、同国の重要鉱物の50%の所有権を米国が取得するという提案を拒否したことを受け、全面的な合意には時間がかかることが明確になったという。

ただ、トランプ大統領はウクライナへの追加軍事支援や、同国とロシアの和平交渉の仲介を進める前に、ウクライナとの協定を結ぶことを望んでいる。

トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使ケロッグ氏は今週、協定修正案の内容やウクライナ側が求める条件などを話し合うためキーウ(キエフ)を訪問している。ゼレンスキー氏は20日に同氏と会談する予定。

トランプ氏の顧問は米政府が引き続き協定締結を目指すかとの問いに対し「もちろんだ。(ゼレンスキー氏を)現実に引き戻す必要がある」と述べた。

ホワイトハウスはコメント要請に応じていない。

トランプ氏はウクライナに対する軍事支援の見返りに5000億ドル相当の鉱物資源権益を求めている。関係筋によると、トランプ氏にとって、米国が支援金を回収していると国民に示すことが重要という。

だが、ゼレンスキー氏は米側の提案が同国の利益を重視しすぎているほか、ウクライナへの安全の保証が欠けているとし、19日の記者会見で「国を売ることはできない」と述べた。

関係者によると、ウクライナはトランプ政権と取引をする意向がある。別の関係者もウクライナは合意する用意があるが、米側が当初提示したような「強欲」な案であってはならないと述べた。

初期合意を簡略化するアプローチは、今後数週間でウクライナと合意を締結するために政権内で議論されている方法の一つに過ぎない。

米国の元ウクライナ経済復興担当副特使タイソン・バーカー氏は「ウクライナは米国の納税者がウクライナに提供した何十億ドルもの資金に報いるため、重要鉱物資源への優先的なアクセスという形で米国に一段の優位性を与えることに前向きだ」と指摘。

同時に、カナダや英国、日本、欧州連合(EU)など、ウクライナに多額の支援を行った他の国にも同様の条件を提示する必要があると述べた。

*情報を追加しました。

ロイター
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