オーストリア通行人殺傷、容疑者はISに忠誠 ネットで過激化
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オーストリア当局は2月16日、南部フィラッハで15日に起きた通行人殺傷事件の容疑者とされる難民申請中のシリア人の男(23)が過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っており、インターネット上で過激化したとの見解を示した。写真は同日、現場近くに供えられた花束など(2025年 ロイター/Borut Zivulovic)
Borut Zivulovic
[フィラッハ(オーストリア) 16日 ロイター] - オーストリア当局は16日、南部フィラッハで15日に起きた通行人殺傷事件の容疑者とされる難民申請中のシリア人の男(23)が過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っており、インターネット上で過激化したとの見解を示した。
男は複数の通行人を切りつけ、14歳の少年が死亡、5人が負傷した。うち3人は集中治療を受けている。男は直後に警察に逮捕された。
当局によると、食品配達中のドライバーが事件を目撃し、男に車を衝突させて被害の拡大を防いだ。
カルナー内相はフィラッハでの記者会見で、男がインターネット上で急速に過激化したと説明。男のアパートからISの旗が見つかったと語った。
また、難民申請者を審査する当局の権限を一段と強化すべきだと述べた。
警察によると、男はISへの忠誠を誓う自らの姿を録画していた。
現時点でISからこの攻撃に関する発表はない。ただ、白人至上主義組織やジハード主義組織のオンライン活動を追跡するSITEインテリジェンスによると、ISのアフガニスタン支部である「イスラム国ホラサン(ISIS─K)」のメディア部門は最近、欧米での単独攻撃を呼びかけるISの投稿を流布していたという。
オーストリアでは昨年8月、ISに忠誠を誓っていた10代の若者が米人気歌手テイラー・スウィフトさんのウィーン公演で自爆攻撃を企てていたとして、公演が中止になった。
また、欧州では今月13日、ドイツ南部バイエルン州ミュンヘンで車が群衆に突っ込み、多数が負傷。その後2人が死亡した。
昨年9月の議会選で第1党となった極右政党・自由党のキクル党首は「(難民申請を)厳しく取り締まる必要がある」と表明した。
*内容を更新しました