ニュース速報
ワールド

アラブ系米国人、トランプ氏のガザ構想に反発

2025年02月07日(金)03時56分

トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザを「長期所有」すると発言したことに対し、一部のアラブ系・イスラム系米国人の間で反発が広がっている。写真は5日撮影(2025年 ロイター/Kent Nishimura)

Nathan Layne Andrea Shalal

[5日 ロイター] - トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザを「長期所有」すると発言したことに対し、一部のアラブ系・イスラム系米国人の間で反発が広がっている。ただ、中東の恒久的な和平実現に向けてトランプ氏が最善の選択肢との見方も後退していない。

2024年の大統領選では、アラブ系・イスラム系有権者の民主党離れが共和党のトランプ氏が勝利した要因の1つだった。特に全米最大のアラブ系コミュニティーがある激戦州ミシガン州での影響が大きかった。

「トランプ氏のためのアラブ系米国人の会」を設立し、ミシガン州などの激戦州での支持拡大に尽力したビシャラ・バーバー氏はロイターに対し「自発的であれ強制的であれ、パレスチナ人が故郷から移住させられることに反対する」とし、「トランプ氏の構想に悪意はないのかもしれないが、多くの人の反感を買っている」と述べた。

大統領選後の焦点の変化を反映し、2日前に会の名称を「平和のためのアラブ系米国人の会」に変更したとしながらも、ガザ地区での紛争回避にはトランプ氏が依然として最良の選択肢との考えから、トランプ氏を引き続き支持していると述べた。

「中東・北アフリカ商工会議所」を設立したフェイ・ネメル氏は、トランプ氏が示した構想は、大統領選の選挙活動中にアラブ系・イスラム系米国人に示されたメッセージのほか、共和党によるアラブ系コミュニティーの支持拡大の取り組みから逸脱していると指摘。「まさに逆の方向に向かっているように感じる」とし、「共和党が今回の選挙で得た勢いを維持したいなら、支持した有権者を疎外してはならない。残念ながらまさにそのようなことが起きている」と語った。

「米国の発展のためのイスラム教徒の会」を設立した医師のヤヒア・バシャ氏は、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が以前からガザ地区をリゾート地として開発する可能性に言及していたことを踏まえると、トランプ氏が示した構想は驚くべきものではないとしながらも、実際に米政府がこうした計画を実行するとは考えにくいとの見方を示した。

その上で、トランプ氏がデンマーク領グリーンランドの購入に意欲を見せていることや、カナダを米国の51番目の州にすると発言していることなどを挙げ、トランプ氏は具体的な政策の基礎を示すよりも、挑発的な意図をもって発言することが多いと述べた。

トランプ大統領は4日、訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザ地区からパレスチナ人を他の地域に移住させた上で米国が管理し、「中東のリビエラ」に変える構想を提案。アラブ諸国を含む国際社会が反発している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権の退職勧奨、連邦政府職員4万人超が受け

ビジネス

米国株式市場=まちまち、ダウ125ドル安 決算や米

ビジネス

トランプ関税でインフレ0.8%ポイント上昇も=米ボ

ワールド

米政権、環境保護庁職員100人超を休職扱いに 司法
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 3
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮兵が拘束される衝撃シーン ウクライナ報道機関が公開
  • 4
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 8
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 9
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 10
    スーパーモデルのジゼル・ブンチェン「マタニティヌ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 6
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 7
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中