ニュース速報
ワールド

インドで所得税減税、中間層支出拡大で内需喚起へ=25年度予算案

2025年02月03日(月)08時41分

 2月1日、インド政府は発表した2025年度予算案(25年4月―26年3月)で所得税の減税を盛り込み、年収128万ルピー(1万4800ドル)以下の所得者は納税を免除するとした。ニューデリーで1日撮影(2025年 ロイター/Sahiba Chawdhary)

Nikunj Ohri

[ニューデリー 1日 ロイター] - インド政府は1日発表した2025年度予算案(25年4月―26年3月)で所得税の減税を盛り込み、年収128万ルピー(1万4800ドル)以下の所得者は納税を免除するとした。また、新たに設けた基準額を超える所得者の税率も引き下げた。

トランプ米政権による輸入品への関税強化を受けて世界経済の先行きが不透明な中で、中間層の支出を拡大させて内需を押し上げるのが狙いだ。人口が約14億人と世界最大で、経済規模が世界5位のインドは都市部の需要が弱く、民間投資も低調な状況で、25年度の国内総生産(GDP)成長率は4年ぶりの低水準になると見込まれている。

シタラマン財務相は議会で「新しい仕組みは中間層への課税を減らし、より多くのお金を彼らの手元に残し、家計の消費と貯蓄、投資を促進する」と述べた。この措置により、財務省の収入は年間1兆ルピー(116億ドル)押し下げられる。

HDFC銀行のエコノミスト、サクシ・グプタ氏は、今回の減税について「インフレ率の上昇と所得増加率の鈍化という課題に直面している中間層の消費需要と貯蓄に拍車をかける可能性が高い」との見方を示した。

政府は25年度の歳出の増加幅は小幅に抑え、11兆2100億ルピーとする計画だ。24年度は10兆1800億ルピーだった。

25年度のインフラ支出増が小幅だったのを受け、ラーセン&トゥブロ、NBCC、IRBインフラ、KECインターナショナルなどのインフラ関連株は1―6%下げた。

25年度の財政赤字は国内総生産(GDP)比で4.4%となり、24年度の4.8%を下回る見通しだ。財政赤字を賄うため、14兆8200億ルピーの国債発行を計画している。 

インドは昨年、天候が農作物の生産に打撃を与えたため高い食品インフレに直面した。政府は特に豆類と綿花の生産に重点を置き、農業分野の生産性向上を目指す。農家を支援するために補助枠の限度額を50万ルピー(5778ドル)とし、従来の30万ルピーから引き上げた。

また、シタラマン氏は製造業と輸出の促進に向けたミッションを立ち上げる計画にも言及した。インドは長年にわたって経済での製造業と輸出の割合を高めることを目指してきたが、ほとんど成功していない。経済に占める製造業の割合は17%弱にとどまり、長年目標としてきた25%に達していない。

一方、保険の浸透を深めるため、保険への外国直接投資枠を現在の74%から100%へ引き上げた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ関税による日本への影響、十分精査し対応=林

ビジネス

アフリカ開発銀、重要鉱物で裏付けの通貨制度案を提示

ワールド

韓国輸出、1月は1年半ぶり大幅減 米関税問題や営業

ビジネス

米SEC、正式調査のハードル上げる 委員会の承認必
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 5
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロン…
  • 9
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中