米大統領、ガザのパレスチナ人受け入れをヨルダンとエジプトに要求
トランプ米大統領は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザのパレスチナ人を受け入れるようにヨルダン、エジプトに要求した。写真は、ガザ北部に避難したパレスチナ人。2025年1月にガザで撮影(2025年 ロイター/Mohammed Salem)
Nandita Bose Kanishka Singh
[米大統領専用機/カイロ 26日 ロイター] - トランプ米大統領は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザのパレスチナ人を受け入れるようにヨルダン、エジプトに要求した。一方、ハマスはこれを拒否し、ヨルダンとエジプトも拒絶している。
トランプ氏は記者団に対し、ヨルダンのアブドラ国王と25日に電話会談をしたとして「ガザは本当に壊滅的状況だ。だから(ガザの)人々を引き受けてほしいと言った」と説明。さらに「私はエジプトにも(ガザの)人々を引き取ってもらいたい」とし、エジプトのシシ大統領と26日に話すと言及した。
一方、ヨルダンのサファディ副首相兼外相・移民相は、ガザからのパレスチナ人移住に反対する姿勢は「断固たるもので、揺るぎない」と記者団に語った。欧米の支援を受けているパレスチナ自治政府のアッバス議長も、パレスチナの通信社WAFAを通じて「私たちの人々は揺るぎなく、祖国を離れることはない」との声明を出した。
エジプト外務省もトランプ氏の要請を拒否した。
受け入れ要請が一時的な解決策なのか、それとも長期的な解決策なのかとの質問に対し、トランプ氏は25日に「どちらもあり得る」と答えた。
ヨルダンには既に数百万人のパレスチナ人が住んでおり、エジプトには数万人が居住しているが、両国や他のアラブ諸国はガザのパレスチナ人が自国に移住することを拒否している。
イスラエルからの攻撃でガザでは数万人が犠牲となり、人道的に見て悲惨な状況に陥っている。一方で、ガザはパレスチナ人が将来のパレスチナ国家の一部として望んでいる土地となっている。
ユダヤ人入植者をガザに帰還させることを繰り返し要求してきたイスラエルのスモトリッチ財務相は、トランプ氏の呼びかけを「素晴らしいアイデアだ」と歓迎し、実現に向けた計画策定に取り組むと表明。これに対してイスラエルのネタニヤフ首相は、そうしたスモトリッチ氏が提唱していた考えを繰り返し否定してきた。
ハマス当局者からは、ガザから永久に追放されることへの不安の声が相次いだ。政治局員のバセム・ナイム氏はロイターに対し、パレスチナ人は「トランプ氏の提案で発表されたような、たとえ表面的には復興へ向けた善意からの措置に見えるようなものであっても、いかなる申し出や解決策も受け入れない」と話した。
別のハマス当局者のサミ・アブ・ズーリ氏はロイターに対して「ガザの人々は死に耐え、祖国を離れることを拒否してきた」と訴え、トランプ氏に対してバイデン前米大統領が試みた「失敗した」アイデアを繰り返さないように求めた。
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