華為技術元幹部の通信機器企業を調査、FBIが安保懸念
中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の幹部出身者らが設立した通信機器企業を巡り、米商務省と連邦捜査局(FBI)が国家安全保障を脅かす可能性があるとして調査している。ロイターの情報筋への取材と入手文書から初めて明らかになった。写真はFBI本部。2018年12月撮影(2025年 ロイター/Yuri Gripas)
Alexandra Alper
[ワシントン 16日 ロイター] - 中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の幹部出身者らが設立した通信機器企業を巡り、米商務省と連邦捜査局(FBI)が国家安全保障を脅かす可能性があるとして調査している。ロイターの情報筋への取材と入手文書から初めて明らかになった。
同企業は中国で2014年に設立されたバイセルズ・テクノロジーズで、知名度はさほど高くない。同社は北米事業を15年に中西部ウィスコンシン州で開始。ウェブサイトによると、全米で700の商用モバイルネットワークにルーターや基地局など通信機器・設備を納入している。
ロイターの取材に応じた4人によると、商務省は同社に召喚状を送った。4人のうち2人は連邦通信委員会(FCC)が調査支援に当たっていると明らかにした。
FBIが同社の機器と中国発祥という点に関心を持ったのは少なくとも19年にさかのぼる。
ロイターは政府高官や元高官ら計30人以上に取材。元バイセルズ従業員も8人取材した。また、記録請求によってFBIの電子メールも入手した。
複数の専門家によると、対中国ハイテク対策を巡って米政府はかつて、華為技術と中興通訊(ZTE)に制裁を課し米国事業を壊滅的な状況に追い込んだが、その後も数年間にわたって、バイセルズに対する調査は中国政府が通信機器を使って米国でスパイ活動を行っているのと懸念が根強いことを浮き彫りにしているという。
国防総省は今月、バイセルズを中国軍と協力関係にあるとする134社の一角に加えた。根拠や詳細な言及はなかった。リストに効力はないが、名指しされた企業には風評上の打撃となり得る。同社は14日、顧客向け声明で「われわれは国防総省の指定に強く反対し、(撤回を)求める方針だ」と述べた。
在米中国大使館の劉鵬宇報道官はロイターに声明を出し、サイバーセキュリティーの問題を使って中国を中傷するのをやめるよう求めた。
専門家によれば、ルーターや基地局にリモートアクセスできると、通信の傍受や改ざん、妨害、サイバー攻撃が可能。ロイターはバイセルズ機器が悪用された証拠をつかんでいない。ただ、米国当局はこうした手法は世界中の国家を後ろ盾とする多くのハッカー集団によって活用され、「ボルト・タイフーン」の名で知られる中国のグループもその一つと指摘している。
FBIの複数の情報分析官と情報筋から送付された電子メールによると、連邦当局は23年にバイセルズの顧客であるラスベガス市に基地局について警告していた。メールの中には、同市はバイセルズと契約を結んだものの、FBIの指摘に驚愕し契約をキャンセルし、米国企業に差し替えたことが書かれていた。
連邦当局は2019年、ワイヤレスのインターネット・サービス・プロバイダーであるKGIコミュニケーションズに接触した。同社が南部バージア州キングジョージにバイセルズの基地局を複数設置したためで、そのうちの一つは極超音速兵器のテストが行われるダールグレン海軍水上戦センターの近くだった。元郡政執行官のルビー・ブラボ氏とKGI従業員フアン・マルテ氏がロイターに明らかにした。
以前KGI最高経営責任者(CEO)を務めていたマルテ氏によると、連邦当局者はFBI捜査官で、バイセルズが中国発祥企業だと警告したという。
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