イエレン氏、米コロナ対策支出を擁護 「数百万人の失業防いだ」
イエレン米財務長官(写真)が15日に行う退任前最後の主要演説でバイデン政権によるコロナ禍対策を擁護することが、財務省公表の抜粋原稿で分かった。2024年10月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)
Andrea Shalal
[ワシントン 15日 ロイター] - イエレン米財務長官が15日に行う退任前最後の主要演説でバイデン政権によるコロナ禍対策を擁護することが、財務省公表の抜粋原稿で分かった。当時の景気刺激策やその他の政策が力強い成長につながり、数百万人が失業を回避できたと主張する。
それによると、イエレン氏はバイデン政権によるコロナ対策の現金給付、児童税額控除、失業給付の拡充により、大きな下振れリスクが軽減され、世界中で急上昇したインフレ率が米国では他の先進国よりも早く下落したと述べた。
その上で、コロナ禍後の米経済は「驚くほど好調」で、他の先進国をアウトパフォームし、過去の景気後退時よりも好調だったとの見方を示した。
バイデン政権と議会民主党は、第1次トランプ政権下で2020年に承認された3兆ドルを超えるコロナ関連支出を受け、21年3月に1兆9000億ドルの米国救済計画法を制定した。
イエレン氏は先週、景気刺激策による支出がインフレにわずかに寄与した可能性があると認めたが、15日の演説では、20年末までに失職あるいは離職した人々が直面した所得格差が景気刺激策によって大幅に相殺されたと擁護。この支出により需要が支えられ、人々の速やな復職が可能となり、ひいては米国が技能の低下や長期失業の影響を回避するのに役立ったと主張している。
イエレン氏は、雇用への影響を考慮せずにパンデミック後の価格高騰を防ぐことだけを目的とした政策であれば、支出ははるかに少なくなり、場合によっては縮小する結果になっていただろうと指摘。
ただ、支出を減らしていれば生産と雇用の大幅な減少につながったほか、さらに数百万人もの人々が失業して家計を賄う収入がなくなり、消費低迷につながる可能性が高かったとの見方を示している。
また、インフレ率を米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%に維持するためには失業率の大幅な上昇が必要だったとほとんどの研究者が同意していると指摘。その場合、21年と22年を通じて失業率は10─14%まで上昇し、さらに900万─1500万人が失業する恐れがあったと述べている。
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