中国マネー、香港の投資ファンドに殺到 高金利の米国債など人気
中国から債券向けを中心とする香港の海外投資ファンドに資金が動く傾向が顕著になっている。2021年7月、香港で撮影(2025年 ロイター/Tyrone Siu)
[香港 8日 ロイター] - 中国から債券向けを中心とする香港の海外投資ファンドに資金が動く傾向が顕著になっている。香港で登録され、中国本土の投資家に販売が認められている複数の投資ファンドは、2025年初めの募集開始から24時間で完売したことが、ファンドの運用書で明らかになった。
中国当局が今月、海外取引ルートを拡大し、より高い利回りを得る手段が開かれたことが背景にある。
「ファンド相互承認(MRF)」の制度下で中国本土での販売が許可されている香港ファンドの制限が緩和されたことを受け、ファンドの募集が年明けから再開された。ファンド総資産の上限は、従来の50%から80%に引き上げられた。
中国国内では債券利回りが低水準で推移し、人民元も安値を付けている。中国の10年債利回りは1年で100ベーシスポイント(bp)以上低下して1.6%を下回り、米国債との利回りの差は24年ぶりの大きさとなっている。中国の株式市場も低迷しており、海外投資への需要が顕在化した形だ。
JPモルガンが運用する2つの債券ファンドは今週、上限に近付いたことから中国本土の投資家による購入を停止した。また、新規購入受付を再開した初日に購入枠が売り切れたファンドもある。
公式データによると、24年11月末までにMRFを利用した香港のファンドは合計41。販売総額は415億元(56億6000万ドル)に達し、23年末と比べて138%増えている。
中国にとって海外証券投資の重要なルートである適格国内機関投資家(QDII)制度に基づく投資枠が少ないことを踏まえ、MRFが「放出弁」となっているとの指摘もある。
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