ウクライナ終戦へ領土割譲やNATO加盟断念、トランプ氏側近が提案=関係筋
12月4日、トランプ次期米大統領に側近から複数のウクライナ終戦案が提示されていることが、政権移行チーム関係者の話で分かった。写真は対戦車地雷の設置準備を行うウクライナ兵。10月撮影。同国軍提供(2024年 ロイター)
[ワシントン 4日 ロイター] - トランプ次期米大統領に側近から複数のウクライナ終戦案が提示されていることが、政権移行チーム関係者の話で分かった。提案には、事実上のロシアへの領土割譲となる現行戦線の凍結や、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念が含まれているもようだ。
トランプ氏は選挙戦中、自分が大統領ならウクライナ戦争を24時間で終わらせると主張していた。同氏の側近は「アメとムチ」戦略でウクライナとロシアを交渉のテーブルに着かせようとしている。
政権移行チーム関係者によると主な提案は3つ。トランプ氏がウクライナ・ロシア担当特使に任命した元陸軍中将のキース・ケロッグ氏、バンス次期副大統領、駐ドイツ大使を務めたグレネル元国家情報長官代行がそれぞれ提出した。
今年提出されたケロッグ氏案では、ウクライナ領内の現在の戦闘ラインを凍結するとともに、米国がウクライナに安全保障を保証するとしている。合意が成立すれば米国がウクライナへの武器供与を拡大する可能性がある。
上院議員時代にウクライナ支援に反対していたバンス氏が9月に策定した案では、ウクライナのNATO加盟を否定している。バンス氏は、米ポッドキャスト司会者に対し、終戦案には、既存の前線に非武装地帯を設け、「厳重に要塞化」してロシアのさらなる侵攻を防ぐことが含まれる可能性が高いと語っている。
グレネル氏は、7月のブルームバーグとの円卓会議でウクライナ東部に「自治区」を設置することを提唱した。ただ詳細は明らかにしていない。
次期政権の安全保障担当副補佐官に就任する予定のセバスチャン・ゴルカ氏は6月、英ラジオのインタビューで、トランプ氏が、プーチン大統領が和平協議への参加を拒めばウクライナに前例のない規模の兵器を供与すると脅して、交渉のテーブルに着かせると述べていた、と語った。
米国家情報会議(NIC)の国家情報職員を務めた経歴を持つカーネギー国際平和基金のユージーン・ルーマー氏は、ウクライナ東部戦局が優勢なこともあり、プーチン氏がトランプ氏の要請に易々と応じることはないと指摘。今回の侵攻で一方的に併合を宣言したウクライナ東部4州の認定やウクライナのNATO加盟断念は譲れない要求だという。「現実的な終戦計画は誰も持っていない」と指摘した。