マスク氏、次期米政権で「政府効率化」主導へ ラマスワミ氏も
トランプ次期米大統領(写真左)は11月12日、実業家イーロン・マスク氏(右)と共和党の大統領候補指名争いに参加したビベック・ラマスワミ氏が政府効率化省を率いると表明した。10月5日、ペンシルベニア州で撮影(2024年 ロイター/Carlos Barria)
Daniel Trotta Eric Beech
[13日 ロイター] - トランプ次期米大統領は12日、実業家イーロン・マスク氏と共和党の大統領候補指名争いに参加したビベック・ラマスワミ氏が政府効率化を担う新たな組織を率いると表明した。
声明で「私の政権が官僚主義を解体し、過剰な規制を削減し、無駄な支出を減らし、連邦政府機関を再編する道を(両氏が)切り開くだろう」と述べた。
トランプ氏は今回の新組織が共和党の長年の夢を実現し「政府の外から助言を提供する」と表明。マスク氏とラマスワミ氏の役割は非公式なもので、上院の承認が不要になることを示唆した。マスク氏は今後も電気自動車(EV)大手テスラ、短文投稿サイトのX、宇宙開発会社スペースXの経営を継続できるとみられる。
トランプ氏によると、新組織はホワイトハウスや行政管理予算局(OMB)と協力し「大規模な構造改革を推進して(これまでにない)起業家的な(政府への)アプローチを生み出す」と述べた。
両氏の任務には2026年7月4日の期限を設けた。1776年の独立宣言採択の250周年を同日に迎える米国にとって「贈り物」になると指摘した。
<短縮形は「DOGE」>
ラマスワミ氏は製薬会社の創業者で、共和党の候補指名争いから撤退後、トランプ氏の支持に転じていた。
ラマスワミ氏は21年のベストセラー「Woke, Inc.」で、一部の大手企業について、社会正義と気候変動懸念を巡る事業戦略を基に経営判断を行っていると非難している。
マスク氏はトランプ陣営に多額の献金をしており、選挙集会にも登壇。トランプ氏は選挙で勝てばマスク氏を政府効率化担当の役職に就けると約束していた。
新組織「Department of Government Efficiency」の短縮形は「DOGE」で、マスク氏が推進する暗号資産(仮想通貨)「ドージコイン」と同じ表記。
トランプ氏の声明によると、マスク氏は効率化の取り組みが「政治体制全体、無駄な業務を行っている多くの人々にショックを与えるだろう」とコメント。「われわれの時代の『マンハッタン計画(原爆開発計画)』になり得る」とした。
マスク氏はXに「(新組織の)全ての活動はオンラインに投稿され、最大限の透明性を確保する」とし「正気とは思えないほど馬鹿げた税金の使い方のスコアボードもつくる。これは極めて悲惨なものになると同時に、極めて面白いものになるだろう」と述べた。
マスク氏は10月に行われたトランプ氏の選挙集会で税金の無駄遣いを是正する意向を示していた。
<「究極の企業腐敗」と批判も>
ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダニエル・アイブズ氏は「マスク氏がトランプ政権で非常に大きな役割を担い、多くの連邦機関と接触できるようになることは明らかだ」とし、マスク氏とテスラに大きな恩恵をもたらすと述べた。
一方、トランプ氏の大統領1期目の一部政策に異議を唱えた非政府組織(NGO)「パブリック・シチズン」は批判。リサ・ギルバート共同代表は「マスク氏は政府の効率性や規制について何も知らないだけでなく、彼自身のビジネスは、彼が新しい『皇帝』の地位に就いて攻撃することになるであろう、まさにそのルールに定期的に反してきた。これは究極の企業腐敗だ」と語った。