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米大統領選、ヒスパニック男性と白人女性の支持に異変 世論調査

2024年10月25日(金)19時03分

 米大統領選挙が11月5日に近づく中、共和党候補トランプ前大統領(右写真)と民主党候補ハリス副大統領(左写真)の支持率は依然拮抗しているが、人種や性別による有権者の支持に変化が見られる。2024年8月撮影(2024年 ロイター/Marco Bello, Jeenah Moon)

Jason Lange Bo Erickson

[ワシントン 25日 ロイター] - 米大統領選挙が11月5日に近づく中、共和党候補トランプ前大統領と民主党候補ハリス副大統領の支持率は依然拮抗しているが、人種や性別による有権者の支持に変化が見られる。トランプ氏がヒスパニック系男性の支持を伸ばす一方、ハリス氏は白人女性の支持を集め、従来の支持基盤を互いに切り崩している格好だ。

ロイター/イプソスの最新世論調査(10月16─21日)によると、ハリス氏の支持率が46%、トランプ氏は43%でわずか3%ポイント差でハリス氏がリードしている。

しかしロイター/イプソスが10月21日までの1カ月と2020年の同期間を比較分析したところ、トランプ氏はヒスパニック系男性の間で支持が拡大。前回20年の選挙戦ではバイデン氏に19ポイントの差をつけられていたが、2ポイント差に縮めた。

一方、前回はバイデン氏より12ポイント多かった白人女性の支持は、3ポイントに低下した。

米国の有権者の中で急速に数が増え選挙に及ぼす影響力が高まっているヒスパニック系は1970年代以降のほとんどの大統領選挙で民主党寄りだった。しかしロイター/イプソスの分析(誤差2─6%ポイント)によると、登録済みヒスパニック系有権者のトランプ氏支持率は37%で20年の30%から上昇。一方、ハリス氏は51%で4年前のバイデン氏の54%を下回る。

20年の選挙でトランプ氏のヒスパニック系の得票率は38%。バイデン氏を21ポイント下回ったが、ピュー・リサーチセンターの20年の出口調査分析やアメリカン・エンタープライズ研究所のデータによると、共和党候補としては04年のジョージ・W・ブッシュ大統領(44%)以来、最も多かった。

<黒人有権者層でも変化>

トランプ氏は、民主党が強みとしてきた黒人有権者層でも支持を広げている。最近のロイター/イプソス調査では、黒人男性の支持率は約18%、黒人女性は8%でいずれも4年前(黒人男性14%、黒人女性4%)から4ポイント上昇している。前回選挙の出口調査でトランプ氏の黒人有権者の得票率は約8%だったが、最近の世論調査では12%となっている。

黒人有権者のトランプ氏支持が拡大していることについて、共和党の選挙戦略担当クリスティン・デービソン氏は、民主党が社会問題で極端過ぎるというトランプ氏の主張が効いていると説明した。

一方、ハリス氏は、白人女性の支持によって接戦状態を維持している。前回選挙で白人女性は有権者の約4割を占め、黒人とヒスパニック系の合計の2倍だった。

白人男性の支持率はトランプ、ハリス両氏ともほとんど変わっていない。だが、ハリス氏が白人女性の支持を伸ばしたことで、白人有権者全体でのトランプ氏のリードは9ポイントと、20年の14ポイントから縮小した。

共和党戦略担当者デービソン氏は、女性有権者がハリス支持に動いた一因として、中絶の権利を選挙戦で打ち出したことを挙げた。

ロイター
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