ニュース速報
ワールド

韓国国債の世界国債指数追加、ウォン押し上げや資金流入に期待

2024年10月10日(木)14時06分

指数算出会社FTSEラッセルが韓国国債を来年11月から「FTSE世界国債指数(WGBI)」に組み入れると発表し、市場を驚かせた。写真は韓国ウォンの紙幣。2017年撮影(2024年 ロイター/Thomas White)

Cynthia Kim Yena Park

[ソウル 9日 ロイター] - 指数算出会社FTSEラッセルが韓国国債を来年11月から「FTSE世界国債指数(WGBI)」に組み入れると発表し、市場を驚かせた。短期的に通貨ウォンを押し上げ、向こう数年では韓国国債に膨大な資金が流入すると期待されている。

韓国政府の予想では、WGBIへの追加で国債市場には最大で80兆ウォン(597億ドル)が流れ込む。世界で最も急速に高齢化が進み、社会福祉費用の急膨張が見込まれる同国にとっては待望の資金と言える。

韓国資本市場研究院のアナリスト、キム・ハンス氏は「韓国にとってWGBIへの組み入れは着実で安定的な資金流入を意味し、『コリア・ディスカウント』が縮小する可能性がうかがえる」と述べた。

コリア・ディスカウントは、韓国の煩雑な行政手続きや低配当、不透明な財閥による経営支配を理由に韓国企業の評価が他国・地域の企業よりも割り引かれる状況を指す。

キム氏は「韓国特有の制約がある外国為替市場は常に問題だったが、FTSEラッセルの決定で国際的な投資家が韓国のシステムを是認したことになる」と語り、韓国政府が通貨市場における外国銀行の参入増加に取り組んだ点に言及した。

尹錫悦政権はコリア・ディスカウントの解消や、韓国の証券がWGBIやMSCIといった先進国指数に採用されることを通じて外国からの資金流入を加速させるための幅広い改革を進めてきた。

ただそれにもかかわらず、ウォンは今年下落基調が続き、韓国株は年初来2.3%安と、力強く上昇してきた米S&P総合500種や日経平均株価(225種)をアンダーパフォームしている。

昨年に政権が株式空売りの全面禁止措置を復活させたことも、改革の流れに影を落とした。これによりMSCIは6月、韓国株の区分を新興国にとどめ、先進国指数への格上げを見送った。

最近ではゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが、ユーロクリア経由の清算が相応の規模に達していないことを理由に挙げて、韓国国債のWGBI追加は来年に先送りされる可能性があるとの見方を示した。

そのため今回の決定について外為ディーラーの1人は「予想外だった」と語り、ドル/ウォンのオフショア市場では一時的にドル売りが見られていると説明。ウォン建て資産への需要は増えていくと予想した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中