ノーベル物理学賞に米カナダの研究者、AIの基礎築く
スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2024年のノーベル物理学賞を人工知能(AI)の機械学習の基礎となる手法を開発した米プリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授と、カナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン教授に授与すると発表した。提供写真。(2024年 ロイター)
Niklas Pollard Johan Ahlander
[ストックホルム 8日 ロイター] - スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2024年のノーベル物理学賞を人工知能(AI)の機械学習の基礎となる手法を開発した米プリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授(91)と、カナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン教授(76)に授与すると発表した。
科学アカデミーは「両氏は物理学のツールを使用して、今日の強力な機械学習の基礎となる手法を開発した」と評価し、「人工ニューラルネットワークに基づく機械学習は現在、科学、工学、日常生活に革命をもたらしている」と述べた。
ヒントン氏は、データ内の特性を自律的に見つけ、写真内の特定の要素を識別するなどのタスクを実行できる手法を発明した。自らが開拓した技術の危険性についてより気軽に語れるよう昨年グーグルを退職したことで話題になった。英国生まれで現在トロント大学名誉教授。
カリフォルニア州のホテルでノーベル賞記者会見の電話インタビューに応じ「自分たちよりも賢いものがどんなものなのか、私たちは経験していない」と述べ、「医療などの分野では多くの点で素晴らしいことになる」と指摘。一方で「さまざまな悪い結果も懸念しなければならない。特に、こうした技術が制御不能になる恐れがあることだ」と語った。
プリンストン大学名誉教授のホップフィールド氏は、データ内の画像やその他の種類のパターンを保存し、再構築できる連想メモリを開発した。
プリンストン大主催の会見で「十分に複雑で大規模なシステムになると、そこに組み込んだ素粒子からは到底推測できないような特性を持つようになる」とし、「そのシステムには新たな物理学が含まれていると言わざるを得ない」と述べた。
ヒントン氏の懸念に同調し、AIの未知の可能性と限界について不安を感じることがあると語った。
機械学習やその他のAIを巡る懸念について質問されたノーベル物理学賞委員会のムーンズ委員長は「機械学習には多大なメリットがあるが、その急速な発展は我々の将来に対する懸念も引き起こしている」と語った。
「人類は集団として、人類の最大の利益のために、この新しい技術を安全かつ倫理的に使用する責任を負っている」と強調した。
物理学賞は今週授与される2番目のノーベル賞。賞金は1100万スウェーデンクローナ(110万ドル)で両氏で分け合う。
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