東南アジアの犯罪組織、テレグラムを多用 国連が報告書
10月7日、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は東南アジアの大規模な犯罪ネットワークが通信アプリ「テレグラム」を広範に利用しているとの報告書を公表した。写真はテレグラムのアプリのロゴ。2017年9月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)
Poppy McPherson Tom Wilson
[バンコク 7日 ロイター] - 国連薬物犯罪事務所(UNODC)は7日、東南アジアの大規模な犯罪ネットワークが通信アプリ「テレグラム」を広範に利用しているとの報告書を公表した。
報告書によると、テレグラム上ではハッキングされたクレジットカードの詳細情報、パスワード、ブラウザーの履歴といったデータが公然かつ大規模に取引されているほか、サイバー犯罪に利用されるディープフェイクソフトやマルウエアも広く販売され、資金洗浄(マネーロンダリング)のサービスを提供する無認可の仮想通貨取引所もある。
報告書は「地下のデータ市場がテレグラムに移行しており、東南アジアを拠点とする多国籍組織犯罪グループに積極的にデータを売り込む業者が存在する強力な証拠」があるとしている。
東南アジアは、国境を超えて行われる組織的な詐欺の拠点となっており、中国の犯罪組織が人身売買された労働者を使って詐欺を働くケースが多い。UNODCによると、こうした詐欺産業の年間売上高は274億─365億ドルに達する。
犯罪組織は利益を上げるため、技術革新を迫られており、マルウエア、生成AI(人工知能)、ディープフェイクといった新しい技術や新しいビジネスモデルを詐欺に利用。UNODCは東南アジアの犯罪組織を顧客とするディープフェイクソフトの販売業者10社以上を特定した。
テレグラムを巡っては今年8月、投稿の監視・管理を行わず、犯罪活動を放置したとして、フランスの警察が創業者のパベル・ドゥーロフ最高経営責任者(CEO)を逮捕。
聯合ニュースによると、韓国警察もディープフェイクポルノを巡ってテレグラムに対する捜査を開始した。
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