日経平均2カ月ぶり4万円、日米ハト派織り込みが押し上げ
12日の東京市場で日経平均は取引時間中として約2カ月ぶりに4万円の大台を回復した。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Noriyuki Hirata
[東京 12日 ロイター] - 12日の東京市場で、日経平均は取引時間中として約2カ月ぶりに4万円の大台を回復した。日米の金融政策を巡るハト派織り込みが進んだことが背景にあり、日経平均は高値圏での越年への思惑も浮上してきた。
このところ足踏みとなっていた3万9500円を寄り付きから上抜け、上昇に弾みがついた。東証プライム市場の値上がり銘柄数は全体の約8割、業種別では鉄鋼を除く32業種が上昇しており、幅広く買われている。
市場では、日米の中央銀行の政策を巡るハト派的な材料があったとして「リスクオンのムードが出てきた」(野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジスト)との声が聞かれる。
株高を促したのは、米国市場でのハイテク株高と為替の円安だ。米国株式市場ではS&P総合500種とナスダック総合が上昇。ハイテク株比率の高いナスダックは初めて2万ポイントを突破した。11月消費者物価指数(CPI)が7カ月ぶりの大幅な伸びだったが市場予想と一致し、12月の利下げ観測が高まった。
国内のハイテク株にも買いが波及し、東京エレクトロンやアドバンテスト、ソフトバンクグループといった日経平均への寄与度の高い銘柄群の上昇が目立つ。
前日の夕方には、日銀が利上げを急がないとブルームバーグが報じる中、ドル/円は約2週間ぶりに152円を回復。トヨタ自動車など輸出関連株を中心に支援材料となっている。
<最高値の更新は年明け後か>
もっとも、日経平均は4万円の大台に乗せた後は伸び悩みもうかがわれ、今年7月に付けた史上最高値4万2426円77銭を年内に上回るとの見方は強まっていない。野村AMの石黒氏は「4万円では戻り売りが出やすく、しっかり上抜けて定着するには材料不足にみえる。4万円は目先の上値めどになり得る」と話している。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、仮に12月の日銀金融政策決定会合で利上げを見送っても、1月会合での利上げは意識されていると指摘。「日米の中銀イベントを通過した後に上方向を試す可能性もゼロではないが、年内に4万2000円台の高値を取りに行く展開は見込みづらい」という。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、円債市場では徐々に12月会合での利上げはないとの見方が強まっているとの見方を示しつつ、「ドルが今後150円台後半となるなど円安が一段と進行すれば、再び年内の日銀の追加利上げが意識されやすく、円債市場も反応していくだろう」と指摘する。
日経平均は、3万8000─4万円のレンジが9月終盤から約3カ月続いた。これを明確に上放れられるかが焦点となる。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは「4万円付近で足踏みが続くと利益確定の売りが出やすく、レンジに逆戻りもあり得る。終値でしっかり4万円を上回れるかがポイント」とみている。
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