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ブラジル中銀総裁、フォワードガイダンス停止表明 利上げ幅は0.5%も

2024年09月25日(水)11時43分

 9月24日、ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁(写真)は、J・サフラ銀行主催のイベントで講演し、将来の金融政策の引き締めペースを示す「フォワードガイダンス」を公表しないことを決めたと述べた。写真は米ニューヨークで昨年11月撮影(2024 ロイター/Brendan McDermid)

Marcela Ayres

[ブラジリア 24日 ロイター] - ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は24日、J・サフラ銀行主催のイベントで講演し、将来の金融政策の引き締めペースを示す「フォワードガイダンス」を公表しないことを決めたと述べた。ただ、インフレ期待の不安定化と長期金利の上昇に懸念を示した。

外国為替市場では、中銀がインフレ抑制に強い姿勢で臨むとの見方が広がり、ブラジルレアルが対ドルで1%以上値を上げた。ドルは中国の景気刺激策発表を受けて軟調だっただけにレアル高は目立った。

総裁は「次回の金融政策委員会で何を決定するべきか分からない場合があったり、各種データ次第だったりする。しかもデータの中には決定に影響を及ぶ可能性のある変化が見て取れる時もある」と述べた。直近公表の議事要旨を踏襲した発言で、そこでは従来のフォワードガイダンス公表が先行き不透明感によって不可能になったことが強調されていた。

総裁はその上で「われわれは(インフレ)期待とイールドカーブの長期ゾーンで何が起きたかについて大きな不安を抱いている。一部は財政的なもので、すぐに対処できると分かっている」と付け加えた。

UBS・BBは顧客向けメモで、総裁のこうした発言について、今後の政策決定は新規のデータ次第で利上げ幅が50ベーシスポイント(bp)に拡大することを裏付けた発言と指摘。来年1月までの3回の政策委員会でもそうしたペースの追加利上げが続くと予測した。

ブラジル中銀は18日の政策委員会で、政策金利を25bp引き上げて10.75%とした。2022年8月以来約2年ぶりの高い水準で、今後は緩やかな利上げを続ける方針を挙げていた。しかし、中銀が毎週実施する民間エコノミスト調査は、来年1月までの計3回の委員会でそれぞれ50bpの利上げが決まるとの見方が広がっている。

ただ、利上げペースが通常の2倍になると織り込まれた後でも、インフレ率予想は今年4.37%上昇、25年に3.97%上昇、26年に3.62%上昇の見通しで、いずれも中銀のインフレ目標の3%を上

回っている。

ロイター
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