米民主党議員グループ、関税制度の「抜け穴」廃止をバイデン氏に要請
9月11日、米下院民主党議員の多数グループが、バイデン大統領宛て書簡で、低価格品の輸入小包に関税を免除する制度上の「抜け穴」をふさぐための権限行使を要請した。写真は北京で2020年撮影(2024年 ロイター/Aly Song)
David Lawder
[ワシントン 11日 ロイター] - 米下院民主党議員の多数グループが11日、バイデン大統領宛て書簡で、低価格品の輸入小包に関税を免除する制度上の「抜け穴」をふさぐための権限行使を要請した。
問題視されているのは、価格800ドル以下の個人宛て小包を免税し、税関検査も不要とする「デミニミス」ルール。この仕組みを巧みに利用して成長を続けているのは、中国の電子商取引企業「SHEIN(シーイン)」やPDDホールディングス傘下の「Temu(ティームー)」などで、合成麻薬「フェンタニル」の密輸に悪用されていることも大きな懸念要素という。
民主党議員グループは「デミニミスの抜け穴をふさぐ緊急性は看過できない。デミニミスのせいで検査をくぐり抜けた、オンライン経由の虚偽表示されたフェンタニル添加錠剤が米国民の手元に届き、死者が発生し続けている」と主張し、特に中国からのデミニミスでの輸入はウイグル強制労働防止法や通商法301条などの適用回避につながっていると訴えた。
全米繊維団体協議会も、シーインなどからのファストファッション系電子商取引業者からのデミニミスでの輸入は、多くの中国製繊維製品に科される通商法301条の制裁関税をすり抜け、昨年だけで米国内の18カ所前後の工場を閉鎖に追い込んだと述べた。
米通関当局のデータなどによると、昨年のデミニミスでの輸入額は234億ドルと2014年以降で2倍以上に膨らみ、品目別で主にメキシコからの中型ピックアップトラック輸入額を上回っている。
また中国からのデミニミス輸入額も同じ期間にやはり2倍を超える増加となり、昨年は46億ドルに達した。