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バイデン氏「イスラエルの取り組み不十分」、ネタニヤフ氏は反発

2024年09月03日(火)13時40分

9月2日、バイデン米大統領(写真)は、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスに拘束されている人質の解放に向けた合意の最終案をまもなく提示すると述べた。同時に、イスラエルのネタニヤフ首相は合意確保に向け十分に取り組んでいないとの考えを示した。ピッツバーグで撮影(2024年 ロイター/Elizabeth Frantz)

Jeff Mason Matt Spetalnick

[ワシントン 2日 ロイター] - バイデン米大統領は2日、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスに拘束されている人質の解放に向けた合意の最終案をまもなく提示すると述べた。同時に、イスラエルのネタニヤフ首相は合意確保に向け十分に取り組んでいないとの考えを示した。

バイデン氏は、ネタニヤフ首相は人質解放に向け十分な努力をしているかとの記者団の質問に対し、「ノー」と回答。ただ、詳細については語らなかった。

また、交渉が成功するかどうかとの質問に対しては「希望が尽きることはない」とした。

バイデン氏はその後、ネタニヤフ首相と「いずれ」話すつもりだと語った。

イスラエル軍は1日、ガザ最南部ラファの地下トンネルで人質6人の遺体を収容したと発表。発見される直前に殺害されたという。人質のうち1人は米国人男性だった。 

ホワイトハウスによると、バイデン大統領とハリス副大統領は米国の人質交渉チームとも会談。その中で大統領は人質殺害に対する「衝撃と憤り」を表明し、残りの人質解放に向けた次のステップについて話し合ったという。

一方、ネタニヤフ首相は、圧力をかけるべきはイスラエルではなくハマスだと反発。記者会見で「今、われわれは真剣さを見せろと要求されているのか、譲歩を要求されているのか。これはハマスにどんなメッセージを送っているのか。もっと人質を殺せと言っているのだ」と語った。

また、バイデン氏を始め真剣に和平実現に取り組む人物がイスラエルにさらなる譲歩を求めるとは考えておらず、むしろそうする必要があるのはハマスだと述べた。

イスラエルの関係筋も、バイデン氏が人質交渉を巡りハマスのヤヒヤ・シンワル指導者ではなくネタニヤフ氏に圧力をかけたことは「留意すべき」と語った。

バイデン氏が、ネタニヤフ氏の対応が不十分と発言したことも、ハマスが人質6人を殺害した直後に出されたというタイミングからみて危険な見解だとした。

こうしたイスラエルのコメントに対し、米国当局者は、バイデン大統領は人質死亡についてハマスに責任があると明言していると反論。「行方不明の人質の解放を急ぐよう、イスラエル政府に求めている」と述べた。

<ハマスも反応>

ハマス幹部のサミ・アブ・ズーリ氏は、バイデン氏のネタニヤフ氏批判について「ネタニヤフが合意への努力を台無しにした責任があるという米国の認識」だと指摘。永続的な停戦とイスラエルのガザからの完全撤退を確保できる提案には前向きに対応するとも述べた。

ロイター
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