英独首相、協力協定によるEU離脱後の関係再構築を模索
英国のスターマー首相(左)とドイツのショルツ首相(右)は28日、ベルリンで会談し、防衛や貿易などを含む包括的な協力協定の締結を目指すことで合意した。同日撮影(2024年 ロイター/Liesa Johannssen)
[ベルリン 28日 ロイター] - 英国のスターマー首相とドイツのショルツ首相は28日、ベルリンで会談し、防衛や貿易などを含む包括的な協力協定の締結を目指すことで合意した。両首脳は共同宣言で「来年初めまでに」協力協定に署名することを表明した。英国にとって欧州連合(EU)との関係を再構築する一環となる。両国の国防相らは7月の共同防衛宣言の署名に続く、新たな防衛協定の締結に向けても取り組んでいるという。
7月に就任したスターマー氏は、2日間の日程でドイツとフランスを訪問。英保守党政権の時代に冷え込んだ欧州同盟国との関係改善を目指しており、英の経済成長につなげる取り組みの中心にこれを据えている。
スターマー氏は新たな協力協定は、貿易を拡大するとともに科学や技術、ビジネス、文化面で連携を深めるもので「英国とドイツの労働者のために実現する一世一代の機会だ」とアピール。「成長は政権の第一の使命だ」とし「達成にはドイツや欧州のパートナーとの関係構築が極めて重要だということを十分に理解している」と訴えた。
共同記者会見に臨んだスターマー氏は、関係の再構築は、2020年の保守党政権下での英国のEU離脱を撤回することや、EUの単一市場や関税同盟への再加盟を意味するものではないとし、「経済や防衛、交易など多くの面でのより緊密な関係を築くことを意味する」と述べた。一方、ショルツ氏は「英国は常に欧州全体に影響する大きな課題を解決するために不可欠な存在だった。それはEU離脱後も変わっていない」と述べ、歩み寄りを見せたスターマー氏と協調する姿勢を示した。
スターマー氏は、フランスのマクロン大統領ともパリで会談する。