豪7月CPIは前年比+3.5%、4カ月ぶり低い伸び 電気料金補助で
8月28日、オーストラリア統計局が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.5%上昇と、6月の3.8%上昇から鈍化し、4カ月ぶりの低い伸びとなった。写真はシドニーで4月撮影(2024 ロイター/Jaimi Joy)
Stella Qiu Wayne Cole
[シドニー 28日 ロイター] - オーストラリア統計局が28日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.5%上昇と、6月の3.8%上昇から鈍化し、4カ月ぶりの低い伸びとなった。市場予想の3.4%上昇はわずかに上回った。
電気料金の補助が下押し要因となった。
金融市場ではオーストラリア準備銀行(中央銀行)が11月に利下げする確率が58%から48.4%に低下した。
豪ドルは0.1%高の1豪ドル=0.6803米ドルと、今年の最高値付近となった。3年債利回りは4ティック上昇し3.559%。
CPIの前月比は横ばいだった。電気とガソリンの価格が下落した一方で家賃と食品価格が上昇した。
統計局の高官はクイーンズランドと西オーストラリアの両州で先月始まった政府の電気料金補助により、電気料金は6.4%下落したと指摘し、8月からは他の州や準州でも実施されると述べた。
補助制度がなければ7月の電気料金は0.9%上昇していたという。
連邦・州政府による電力補助金により、総合インフレ率は今年後半には豪中銀の目標である2─3%に戻ると予想されている。ただ中銀は一時的な要因は考慮せず、基礎的なインフレ率に焦点を当てる考えを示している。
コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は前年比3.8%上昇と、前月の4.1%上昇から減速して6カ月ぶりの低い伸びとなった。
変動の大きい品目と旅行を除いたCPI上昇率は4.0%から3.7%に低下し、2022年初頭以来の低水準となった。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「7月のインフレ率は見せかけばかりだ。表面上はインフレとの戦いが大きく前進したように見えるが、改善の一部は電気料金を人為的に引き下げた補助制度によるものだ」と述べた。
「これにより総合インフレ率は大幅に改善したように見えるが、結局物価は変わっていない」と指摘した。
ナショナル・オーストラリア銀行の市場経済部門責任者タパス・ストリックランド氏は、財のディスインフレ(物価上昇ペースの鈍化)に関して大きな進展がないことが示された」と語った。
「残念ながら、今日の発表では経済のサービス面に関する実質的な情報は得られず、包括的な情報を得ることはできない。だが少なくとも財については大きな進歩がないことを示している」と述べた。
7月の財のインフレ率は横ばいだった。
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