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紛争拡大リスク若干後退と米軍トップ、イスラエル・ヒズボラ交戦後

2024年08月27日(火)10時50分

 8月26日、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長(写真左)は、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの交戦が一段のエスカレートにつながらなかったことを受け、中東でより広範な地域紛争が起こる目先のリスクが幾分和らいだとの見方を示した。写真は25日、エジプト・カイロで撮影(2024年 ロイター/Phil Stewart)

Phil Stewart

[米軍機 26日 ロイター] - 米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長は26日、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの交戦が一段のエスカレートにつながらなかったことを受け、中東でより広範な地域紛争が起こる目先のリスクが幾分和らいだとの見方を示した。

ただ、イランはイスラエルへの攻撃を検討しており、依然として大きな脅威だと指摘した。3日間の中東訪問後、ロイターに述べた。

ヒズボラは25日、イスラエルに対し数百発のロケット弾と無人機(ドローン)を発射。イスラエル軍はヒズボラが大規模攻撃を準備していることを事前に察知し、約100機の戦闘機でレバノンの標的を攻撃した。過去10か月以上にわたる双方の交戦で最大規模の衝突の一つとなったものの、イスラエルでの被害は限定的で、双方とも目先のさらなる報復は表明していない。

ブラウン氏は当面の地域紛争リスクが低下したかとの問いに「多少はそうだ」と応じ、「起こると分かっていたことが二つある。一つは既に起こった。あとは二つ目がどうなるか次第だ」と指摘。

「イランの措置がイスラエルの対応を左右し、それによってより広範な紛争が生じるかが決まる」と語った。

イラン軍がどのような計画を立てても決定するのは政治指導者だとし、「イランはメッセージを送る措置を取りたいと思っているが、同時に紛争拡大は望んでいないだろう」と述べた。

米軍を攻撃してきたイラクやシリア、ヨルダンの親イラン勢力やイエメンのフーシ派などがもたらすリスクにも警戒感を示し、特にフーシ派は予測がつかない「ワイルドカード」だとした。

イランがイスラエルに数百の無人機やミサイルを発射した4月13日の攻撃の際と比べ、米軍はイスラエルや駐留米軍の防衛を支援する体制が整っているとも述べた。

ヒズボラの軍事力については、イスラエルの攻撃後も「まだ能力を持っている」との見方を示した。

ブラウン氏は26日、イスラエル軍の北部司令部を訪問し、レバノン、シリアとの国境沿いの脅威について説明を受けた。テルアビブではイスラエル軍のハレビ参謀総長とガラント国防相と会談した。

ロイター
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