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豪中銀、政策金利据え置き 近い将来の利下げ否定

2024年08月06日(火)17時34分

 8月6日 オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。写真は2016年3月に撮影(2024年 ロイター/David Gray)

[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは6会合連続。

コアインフレ率は緩やかにしか低下しないとの見通しを示し、年内の利下げの可能性を否定。インフレ抑制に必要なら追加利上げを排除しないとし、理事会は何も決定しておらず何も排除していないと改めて表明した。

豪ドルは0.3%高の1豪ドル=0.6517米ドル。3年債先物は下げ幅を拡大し、29ティック下落の96.4となった。予想外のタカ派的なメッセージを受けて、市場が織り込む11月利下げ確率は中銀発表前の88%から55%に低下した。ただ12月までの利下げは完全に織り込まれている。

理事会後に会見したブロック総裁は近い将来の利下げを否定。コアインフレ率を抑制するため、制限的な政策を維持する必要があると述べた。

総裁は今回の理事会で利上げを議論したことを明らかにした上で、現在の政策が当面適切だと判断したと述べた。

市場が11月の利下げを予想していることについては、先走っていると強調。今後半年程度は利下げが実施される可能性は低いとの認識を示唆した。

目先の政策金利引き下げは、理事会の現在の考えと一致していないと指摘した。「インフレの基調的な動きが一段と低下し始めることをわれわれは確認しなければならない。インフレ率が高止まりする期間が長くなればなるほど、誰にとっても打撃が大きくなるからだ」と説明した。

また政策当局は最近の市場の変動を注視しているが、金利を決定する上で考慮に入れていないと述べた。

中銀は声明で「基調的なインフレ率は依然として高過ぎ、最新の予測では、インフレ率が目標範囲内で持続的に推移するまでにはまだ時間がかかることが示されている」とし「インフレ率が目標範囲に向かって持続的に推移していると確信するまで、政策は十分に制限的である必要がある」と述べた。

基調的インフレ率は第2・四半期も前年同期比3.9%と高水準にとどまり、従来考えられていたよりも緩やかな減速になるとの見方を示した。しかし政府によるエネルギー費補助が寄与し、総合インフレ率は来年初めに目標範囲内に落ち着くと予想されている。

オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測責任者、ショーン・ランケーク氏は「中銀は政府が前回の予算で発表した政策の影響でインフレの道筋の不安定度が増すと予想している」と指摘。

ただ一方で「労働市場の見通しは5月時点の予測からやや弱めになっている」とし「われわれは国内経済が追加利上げがあり得る『危険地帯』から抜け出したと考えている。だが、家計はまだ利下げを忍耐強く待つ必要がある。景気は減速しているが、余剰生産能力は乏しい。利下げ開始は来年初め以降になるだろう」と述べた。

ANZの豪経済部門責任者アダム・ボイトン氏は「中銀の言葉を深読みするリスクはあるが、5月と6月よりもタカ派的だとみている」と述べ、来年2月に利下げが実施されると予想した。

「今日の声明のトーンからすると、われわれが予想するよりもかなり急速に経済活動全体が悪化することが年内の利下げの条件となる可能性が高い」との見方を示した。

ロイター
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