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アングル:アジア株に海外資金流入、米金利見通しとハイテク株上昇が支援

2024年07月05日(金)09時14分

 外国人投資家は6月にアジア地域の株式市場に大量の資金をシフトさせた。米国の物価高圧力の緩和と米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの期待が高まったことが背景にある。昨年7月、台北の証券取引所で撮影された提供写真(2024年 ロイター)

Gaurav Dogra

[4日 ロイター] - 外国人投資家は6月にアジア地域の株式市場に大量の資金をシフトさせた。米国の物価高圧力の緩和と米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利下げに踏み切るとの期待が高まったことが背景にある。

4─5月の売り越しから買い越しに転じた。世界的にAI(人工知能)関連企業が急成長し、アジアのハイテク関連製品の輸出が増加したことも相場を支えている。

韓国、インド、台湾、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピンの証券取引所データによると、外国人投資家は6月にアジア地域の株式を71億6000万ドル購入した。

米商務省が先週発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比横ばいとなり、エコノミストの予想と一致した。パウエルFRB議長は2日、米国はディスインフレの軌道に戻りつつあると述べ、利下げ観測が強まった。

テクノロジー輸出国である韓国と台湾では、外国人投資家が先月、それぞれ38億3000万ドルと19億4000万ドル相当の株式を購入した。

IGのマーケットストラテジスト、イェップ・ジュン・ロン氏は「(韓国と台湾は)ともにAI分野への投資拡大の大きな恩恵を受けている」と述べた。

世界的なハイテク主導の上げでMSCIアジア・パシフィックIT指数は6月に10%近く上昇し、過去7カ月で最高のパフォーマンスを記録した。

インド市場には6月に31億9000万ドルの海外資金が流入した。前月は30億6000万ドルの売り越しだった。

BNPパリバ・アセット・マネジメントの投資スペシャリスト、ミニュエ・リュウ氏は「選挙後の(ごく短期間の)パニック売りの後、投資家は新政権による政策の継続性を確認し、インド株は急速に上昇基調を取り戻した」と指摘。「インド経済は、生産連動型優遇策(PLI)制度や良好な人口構成、旺盛な対外直接投資を背景に、数年にわたる成長局面の入り口にある」と説明した。

一方、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの株式市場は、それぞれ9億3600万ドル、6億5800万ドル、1億400万ドル、9100万ドルの売り越しとなった。

BNPパリバのリュウ氏は「アジア株の見通しに引き続き楽観的だ。ほとんどの地域の中央銀行の利上げサイクルは転換点を迎えているようで、これはアジア株式にとってプラスだ」と指摘した。

ロイター
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