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G20初日に首脳宣言採択、ロシア非難避ける ウクライナは不満

20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が9日、インドのニューデリーで開幕し、モディ印首相は初日に首脳宣言が採択されたと発表した。写真はG20のロゴ。ニューデリーで8日撮影(2023年 ロイター/Anushree Fadnavis)
Sarita Chaganti Singh Nandita Bose Katya Golubkova
[ニューデリー 9日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が9日、インドのニューデリーで開幕し、モディ印首相は初日に首脳宣言が採択されたと発表した。ウクライナ戦争でロシアを非難することは避けたものの、領土を奪うために武力を行使しないよう全ての国に呼びかけた。
宣言は「われわれは全ての国に対し、領土保全と主権、国際人道法、平和と安定を守る多国間システムを含む国際法の原則を守るよう求める」と明記。「われわれはウクライナにおける包括的で公正かつ永続的な平和を支える、全ての関連する建設的なイニシアチブを歓迎する」とした。
また「核兵器の使用や使用の威嚇は許されない」と記した。
ドイツのショルツ首相は、ロシアのウクライナ侵攻に対する明確な立場を示したとして宣言を歓迎。英国のスナク首相も「好ましく、力強い成果だ」と述べた。
一方、ウクライナ外務省は、宣言に「誇れるものは何もない」と指摘。ウクライナが出席していれば参加者は状況をより理解できただろうと不満を示した。
ラブロフ外相が代表を務めるロシアは今のところ反応を示していない。同相はウクライナなど危機に関するロシアの立場が反映されない限り、最終宣言を阻止すると述べていた。
インド外相によると、中国は今回の結果を支持しているという。
<黒海イニシアチブ復活も要請>
宣言では、ウクライナとロシアからの穀物、食料、肥料の安全な輸送に向けた黒海イニシアチブの復活も求めた。また、中低所得国の債務脆弱性に「効果的、包括的かつ体系的な方法で」対処することに合意したものの、新たな行動計画は策定しなかったとした。
各国は多国間開発銀行の強化と改革を約束し、暗号資産(仮想通貨)の規制強化案を受け入れたという。
さらに、世界がエネルギー転換のため年間総額4兆ドルの低コスト資金を必要としている点でも合意した。
このほか、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減」に向けた取り組みの加速を要求。ただ、これは「各国の状況に沿い、公正な移行に向けた支援の必要性を認識しながら」行われる必要があると記した。
<アフリカ連合が正式参加>
モディ首相はアフリカ連合(AU)を正式メンバーに迎えたと発表した。
55の国・地域が加盟するAUはこれまでG20の「招待国際機関」という位置付けだったが、欧州連合(EU)と同じ地位となる。
モディ氏は会議冒頭の演説で、AUのアザリ・アスマニ議長に正式メンバーとして席に着くよう促した。
X(旧ツイッター)のモディ氏公式アカウントは「アフリカ連合をG20の正式メンバーとして歓迎できることを光栄に思う。G20を強化し、グローバルサウスの発言力を拡大することにつながる」とするメッセージを投稿した。