ニュース速報

ワールド

中国外相、米の「性急な」アフガン撤退を非難 安定確保には協力

2021年08月17日(火)09時28分

 8月16日、中国の王毅国務委員兼外相は、アフガニスタン情勢を巡りブリンケン米国務長官と電話で協議し、駐留米軍の性急な撤退が「深刻な悪影響」をもたらしたと非難した。フィリピン・マニラで1月16日、代表撮影(2021年 ロイター)

[ワシントン 16日 ロイター] - 中国の王毅国務委員兼外相は16日、アフガニスタン情勢を巡りブリンケン米国務長官と電話で協議し、駐留米軍の性急な撤退が「深刻な悪影響」をもたらしたと非難した。ただ、現地の安定確保に向けて米政府と協力する考えを示した。

米国務省は声明で、ブリンケン氏と王氏が「安全保障の状況や米中市民の安全確保に向けたそれぞれの取り組み」について協議したと発表。

ブリンケン氏が別途、ロシアのラブロフ外相と電話協議したことも明らかにした。

中国国営中央テレビ(CCTV)によると、王氏はブリンケン氏との電話で、アフガンの現状は、文化や歴史的条件が異なる国に外国のモデルを恣意的に適用できないことを証明していると指摘。

「問題解決のために力と軍事的な手段を使っても問題を増幅するだけだ。この教訓は真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と述べたという。

その上で、米国が部隊を「性急に撤退」させたことによる「深刻な悪影響」を受け、中国は新たな内戦や人道上の危機を阻止するため米政府と連携する用意があると伝えた。

一方で、「米国は中国の抑え込みや抑止を積極的に模索し中国の正当な権利や利害を損なおうとする一方で、中国の協力を期待することはできない」とくぎを刺した。

王氏は、米国が東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)をテロ組織指定リストから除外したことについても、テロ対策のダブルスタンダード(二重基準)だと批判した。

中国は、隣国のアフガン国内でETIMが活動し、中国の新疆ウイグル自治区で分離独立を目指す可能性を警戒している。中国は同自治区で大規模収容施設を設置しており、過激思想を抑えるための職業訓練が目的と説明している。

米政府は、ETIMはもはや正式な組織としては存在しておらず、中国がウイグル族などさまざまなイスラム系民族の抑圧のために使用している広義の名称だとしている。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 10
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中