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英EU離脱に向け企業は早期の準備を=EU首席交渉官

2017年05月18日(木)08時44分

 5月17日、英国のEU離脱交渉のEU側の責任者あるバルニエ首席交渉官は、交渉を決裂させるつもりはなく、英国と協力して合意を目指す考えを示した。アイルランドで12日撮影(2017年 ロイター/Clodagh Kilcoyne)

[ストラスブール 17日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱交渉のEU側の責任者であるバルニエ首席交渉官は17日、約2年後の離脱に向けて企業は早期に準備を進める必要があり、移行期間に過剰な期待は持つべきではないとの見解を示した。

バルニエ氏は欧州議会に対し、離脱交渉で自由貿易よりも他の諸条件を優先する方針について、双方が納得いく合意を目指して信頼を構築するのに必要と説明。また、交渉の決裂は回避すべきとの考えを示した。

同氏は質疑応答で、離脱交渉が2019年3月に終結する前に企業や人々に対して法関連の説明を行う時間は限られると強調。離脱条件で合意できたとしても、余裕のある移行期間を期待すべきではないとした。

「われわれは恐らく英国のEU離脱(ブレグジット)後の移行期間について取り組むだろう。つまり離脱と新たな関係の構築を段階的に行う期間だ」と説明。

「ただ、実際の移行期間とは離脱を控えた現在だ」と指摘したうえで、「19年3月と見込まれる離脱が可能な限り秩序だったものになるよう、すべての経済主体はこの期間を有効活用するよう奨励する」とした。

バルニエ氏は6月8日の英総選挙後に英国との交渉を開始する意向をあらためて表明した。

同氏は、離脱条件の交渉が「大幅に前進」して初めて自由貿易交渉を開始するとの方針について英国内に批判があることに関し、「英国に対する罰則として決めた優先順位ではない」と反論。「問題を解決し、正しい順序で行うためだ」とし、英国との新たな関係構築に向けた信頼の基礎を作る狙いがあると説明した。

バルニエ氏は「合意なし、あるいは悪い合意という選択肢はわたしにはない」と強調。「われわれは英国と合意に達することを望んでおり、英国にとって不利な合意は求めていない」と語った。

離脱に伴い英国に支払いを求める金額については、これまで特定の数字を明らかにしたことはないとあらためて表明。まずは算定方式について合意することが優先課題だとした。

*内容を追加しました。

ロイター
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