ニュース速報
ビジネス

イタリア、メタなど米IT大手3社に付加価値税を請求

2025年03月27日(木)07時51分

イタリアの税務当局がメタ・プラットフォームズ、X、マイクロソフト傘下のリンクトインの米IT企業3社に対して付加価値税(VAT)の納税を求めたことが分かった。写真はメタのロゴ。1月18日、スイスのダボスで撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)

[ミラノ 26日 ロイター] - イタリアの税務当局がメタ・プラットフォームズ、X、マイクロソフト傘下のリンクトインの米IT企業3社に対して付加価値税(VAT)の納税を求めたことが分かった。メタへの請求額は8億8760万ユーロ(9億6100万ドル)、Xに対しては1250万ユーロ、リンクトインには約1億4000万ユーロとなっている。

ソーシャルメディア(SNS)のフェイスブックとインスタグラムを傘下に抱えるメタと、トランプ米大統領側近のイーロン・マスク氏が率いるXへの課税は報道されていたが、リンクトインも対象となったことが判明したのは初めて。当局は各社のSNSへのユーザー登録に関し、ユーザーの個人情報と引き替えにアカウントを取得することを意味しており、課税対象になり得るとみなした。

今回送達された税務調査通知は、請求期限を控えた2015年と16年を対象とした。

VATは27カ国ある欧州連合(EU)加盟国全てで課している税金であるため、イタリアでの導入は最終的に全加盟国に適用され、IT業界はビジネスモデルの再考を迫られる可能性がある。

トランプ氏は欧州連合(EU)からの輸入品に対する関税を強化する方針を示す一方、イタリアのメローニ首相とは良好な関係を築いている。マスク氏はイタリアで衛星通信サービス「スターリンク」の拡大に意欲を持っている。

メタはロイターへの声明で、詳細についてはコメントしないとした上で「EUおよび現地の法律に基づく義務に関して当局に対して全面的に」協力したと強調。メタは「オンラインプラットフォームへのアクセスをユーザーに提供することがVATの対象になるとの考えには強く反対する」とした。

リンクトインはコメントの要求に対して「現時点では共有するものはない」と返答した。

Xはロイターのコメント要請に応じなかった。

一方、米グーグルは2月、イタリア税務当局からの15―19年の請求に応じて3億2600万ユーロを支払うことに合意している。

複数の専門家は、イタリアの納税請求はIT企業以外でも、ユーザーがウェブサイト上の無料サービスにアクセスする際にプロファイリングのクッキー受け入れに同意させている航空会社からスーパー、出版社に至るまでのほぼ全企業に影響を与える可能性があると指摘している。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1600人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

アングル:米経済にスタグフレーションの兆候、70年

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 7
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中