牧野フライス労組、ニデックTOBに「強く反対」 十分な説明なく

牧野フライス製作所の労働組合は26日、ニデックによる株式公開買い付け(TOB)に「強く反対する」意見書を取りまとめたと発表した。都内で2018年7月撮影(2025年 ロイター/KIM KYUNG-HOON)
Ritsuko Shimizu
[東京 26日 ロイター] - 牧野フライス製作所の労働組合は26日、ニデックによる株式公開買い付け(TOB)に「強く反対する」意見書を取りまとめたと発表した。シナジーなどについてニデック側から十分な説明がなされておらず、従業員の不信・不安は払拭されていないとしている。
マキノ労働組合の加藤豊和書記長は会見で「重要なステークホルダーである従業員への配慮に欠ける企業買収に抗議する」と述べた。
同労組では、事前協議のない同意なきTOBに「強い不信感を持つ」としたほか、シナジー効果が不透明、同社の成長や従業員の労働条件の向上に対してメリットを感じないなどの理由を挙げている。また、ニデックによる過去の買収事例では、買収時点で労働条件を変更しない意向が示されても、その後、労働条件が悪化している事例も確認されたという。
ニデックから買収提案を受けた直後から、労組は過去のニデックの買収事例や買収後の状況などの調査を開始。執行部で対応を協議し、「強く反対する」という意見書を取りまとめた。全組合員投票により組合員の意思を確認したところ、反対の意見書に賛同92.1%、反対7.9%(投票率91.6%)となった。意見書は、1月23日に会社に提出した。
加藤書記長は、シナジー効果などに関する牧野フライスからニデックへの質問にもニデックからは誠実な回答がないとし「従業員の不安や不信は募るばかり」と述べた。
ニデックは労組幹部との面談も求めているが、まずは会社側による質問にしっかりと回答してほしい、とした。
マキノ労組が加盟する「ものづくり産業労働組合JAM」は、事前同意なき買収について「跋扈(ばっこ)すれば、日本の製造業の基盤が脆弱となり、製造業を軸とした日本経済の発展はますます困難なものになる」と指摘。経産省に対しては「企業買収における行動指針」に労働者(労働組合)がステークホルダーであることを明記し、労働者への意見聴取を義務付けるなど、指針の強化を図ることなどを求め、3月21日に申し入れを行ったことも明らかにした。
ニデックは昨年12月、牧野フライス株を1株1万1000円で公開買い付け(TOB)し、完全子会社化を目指すと発表。これに対し、牧野フライスが買収対抗策の導入を発表するなど対立が継続。また、投資ファンドなども買収提案に乗り出している。