インタビュー:営業益1000億円へ、法人カードはスピード感持つ=楽天カード新社長

楽天カード(東京都港区)の新社長に就任した中村晃一氏(写真)はロイターのインタビューに応じ、中期的にNon-GAAP(特別費用を除外した)営業利益を1000億円に拡大する方針を示した。3月21日、東京で撮影(2025年 ロイター/Ritsuko Shimizu)
Ritsuko Shimizu Anton Bridge
[東京 25日 ロイター] - 楽天カード(東京都港区)の新社長に就任した中村晃一氏はロイターのインタビューに応じ、中期的にNon-GAAP(特別費用を除外した)営業利益を1000億円に拡大する方針を示した。個人向けカードの拡大継続に加え、みずほフィナンシャルグループと連携して法人向けカードビジネスにもスピード感を持って取り組んでいく。中村氏は、25日付で社長に就任した。
中村社長は「これまで通り、積極的に拡大を続ける路線は踏襲し、手を緩めずやっていく」と意気込みを語った。
同社は2021年10月に「クレジットカード発行枚数3000万枚」、「ショッピング取扱高30兆円」、「取扱高シェア30%」を目指す「トリプル3」を中期計画として発表。このうち、カード発行枚数3000万枚は23年12月にクリアしたほか、ショッピング取扱高は25年度に27兆円となる見通しで「30兆円は26年または27年初頭に達成できる見込みだ」という。シェアに関しては、経済産業省が公表していた統計が廃止となり明示できなくなったが「引き続きトランザクション(取り扱い)の増大はやっていく」とした。
加えて「量と利益の両立」を考える必要があるとし、「国際的な枠組みの中で、しっかりとした企業体力をつけることが大事」として、24年実績で621億円だったNon-GAAP営業利益を1000億円に伸ばすことを新たな目標に掲げた。具体的な達成時期については、日米の金利動向などが不透明なこともあり言及を避け「中期的」とした。
日銀による利上げでこれまで非常に低かった調達コストに変化が表れる見込み。中村氏は、楽天カードの場合は楽天銀行からの調達がほとんどで、一時的に楽天カードの金利負担が大きくなっても楽天銀がそれを吸収する構図があると説明、「グループ全体で見てほしい」とした。このほか、AI(人工知能)を使ったオペレーションの効率化なども利益増に寄与するとみている。
中村社長によると、BtoC(個人向け決済)の市場規模300兆円のうち100兆円がクレジットカードで、まだ、200兆円の部分に伸びしろがある。一方、BtoB(企業間決済)については1100兆円の市場規模のうちクレジットカードは10兆円未満に過ぎない。「今からいち早く参入していく意味がある」と意気込む。みずほFGと連携して現在、協議・検討を進めており「スピード感を持って対応していきたい」と話した。
同社のカードビジネスは、多様なサービスを持つグループ内の相乗効果が強み。今年1月からスタートした「楽天カードプレミアムプログラム」では、楽天証券での投信積み立てポイント還元率アップや楽天銀行での金利優遇などを提供。
中村社長は「楽天モバイルとの連携サービスを夏ごろまでにはやりたい」と明かした。他社のプレミアムカードは空港ラウンジ使用などの特典が多いが、「毎日使えるベネフィットを乗せていくことを考えている」という。また、法人カードについても、ポイント還元の可能性を検討している。
楽天カードは、24年12月にみずほFGが14.99%を出資した。現在の出資比率で踏み込んだ連携ができており、さらなる出資上積みの可能性については、否定的な考えを示した。
中村氏は、1995年4月にさくら銀行(現三井住友銀行)に入行、2004年4月に楽天(現楽天グループ)に入社した。楽天トラベル副社長や楽天ペイメント社長などを経て、24年に楽天カードの代表取締役副社長となった。
※インタビューは21日に実施しました。