FRB、利下げ慎重に 物価に上振れリスク=ボウマン理事
米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は31日、インフレ低下により年内に一段の利下げが可能になるとの見方を変えていないものの、賃金上昇のほか、地政学的リスクやトランプ政権の今後の政策により、物価上昇圧力が高止まりする可能性もあると述べた。(2025年 ロイター)
Howard Schneider
[ワシントン 31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は31日、インフレ低下により年内に一段の利下げが可能になるとの見方を変えていないものの、賃金上昇のほか、地政学的リスクやトランプ政権の今後の政策により、物価上昇圧力が高止まりする可能性もあると述べた。
ボウマン理事は講演で「コアインフレ率は高止まりしているが、年内に一段と緩和すると予想している」と言及。ただ、インフレ上振れリスクはなお存在しているとし、「今後の政策金利の調整は段階的に行っていくことが望ましい。物価と雇用を巡る責務の達成に向けた進展を慎重に検証していかなくてはならない」と述べた。
FRBは28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。決定は全会一致で、ボウマン理事も据え置きに賛成した。
ボウマン氏は、FRBが金利据え置きを決定したことで、トランプ政権の政策が経済に及ぼす影響について明確な見通しを把握する時間的余裕が生まれたと指摘。「実際の政策内容とその実施方法に加え、経済がどのように反応するか、確実に理解することが極めて重要になる」と述べた。
米経済の現状については、労働市場は緩和しているものの、経済は依然としてほぼ完全雇用の状態にあり、賃金上昇率は完全雇用と整合的な水準を超えていると指摘。地政学的な衝撃に対する世界的な供給網の脆弱性のほか、米国の金融市場が活況や、力強い経済成長などを踏まえると、FRBの政策はそれほど制約的にならない可能性があるとの考えを示した。
その上で「過去1年間の金融環境の緩和で、インフレ鈍化の一段の進展を妨げられた可能性があると懸念している」とし、「経済が力強く、株価が1年前と比べ大幅に上昇していることを踏まえると、現在の金利水準と借入コストに有意な抑制効果があるとは考えにくい」と述べた。
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