カナダ中銀0.25%利下げ、成長予想下方修正 米関税による物価高を懸念
カナダ銀行(中央銀行)は29日、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げ3.00%とした。2024年12月撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)
Promit Mukherjee David Ljunggren
[オタワ 29日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は29日、主要政策金利を0.25%ポイント引き下げ3.00%とした。2025年の成長率見通しも引き下げ、米国の関税措置で持続的な高インフレが引き起こされる恐れがあると懸念を示した。
マックレム総裁は会談の冒頭で「長期かつ広範囲にわたる貿易紛争はカナダの経済活動に深刻な打撃を与えるだろう」と述べた。
トランプ米大統領はカナダとメキシコに対する25%の関税を2月1日に発動する計画。カナダの財・サービス輸出の75%が米国向けとなっている。
マックレム総裁は、大規模な関税引き上げが実施された場合のカナダへの影響は一時的なものになるとしながらも、「初期的な物価上昇が賃金などに広く波及し、持続的なインフレにつながることを懸念している」と言及。金融政策でその影響を相殺するのは難しいとの見方を示した。
その上で、米国の関税措置で深刻な経済的な打撃を受ける恐れがあると警告。デフレ圧力よりもインフレ圧力が速く顕在化すれば「金融政策の重点を持続的なインフレへの対応に置かざるを得なくなる」と述べた。ただ、利上げの可能性については言及しなかった。
中銀によると、カナダと他の国々が米国に報復として25%の関税を課した場合、カナダの成長は初年度に2.5%ポイント、2年目にさらに1.5%ポイント低下する可能性がある。これは予測ではなく、仮説的なシナリオという。
同中銀は声明で「インフレ率が約2%にあり、経済が供給過剰となっていることから、理事会は政策金利をさらに0.25%ポイント引き下げて3%とすることを決定した」と述べた。
米国の関税措置は、理論上は利上げを必要とするインフレ圧力の高まりにつながる一方、経済成長が抑制され、利下げによる景気刺激策が必要になる事態も想定されるため、カナダ中銀は難しい局面に直面している。
マックレム総裁は「政策金利という単一の手段だけでは、生産力の低下とインフレ率の上昇に同時に対抗することはできない」としながらも、インフレ率が低いことを踏まえると、中銀は経済の調整を支援することはできると述べた。
中銀は、2025年の同国の経済成長見通しを1.8%に引き下げた。昨年10月時点の予測は2.1%だった。26年についても、2.3%から1.8%に下方修正した。 インフレ率見通しについては、25年は2.2%から2.3%に、26年は2.0%から2.1%に引き上げた。この予測には米国の関税の可能性は考慮されていない。
また、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)を受け供給した過剰流動性を吸収するために実施していた量的引き締め(QT)について、3月に終了させると発表した。
今回の利下げは6会合連続。インフレ率は中銀が目標とする1─3%のレンジの中間付近で推移しているものの、経済成長は依然として低迷している。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「中銀は難しい舵取りを迫られる」とし、トランプ米政権が実際に関税措置の導入に踏み切れば、中銀は一段と積極的な利下げに動く可能性があるとの見方を示した。
次回の金融政策決定会合は3月12日。金融市場では43%以上の確率で追加的に0.25%ポイントの利下げが決定されると見込まれている。
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