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米銀行業界、規制緩和への期待高まる トランプ新政権で

2025年01月20日(月)10時20分

 1月17日、米大手銀行は、政権交代を機に銀行規制の緩和を推し進めようとしている。写真はウォール街の標識。2024年9月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Andrew Kelly)

Pete Schroeder

[ワシントン 17日 ロイター] - 米大手銀行は、政権交代を機に銀行規制の緩和を推し進めようとしている。トランプ次期政権が金融業界に対して友好的な政策を講じるとの期待が背景にある。

具体的には、銀行の自己資本規制バーゼル3の最終化(エンドゲーム)に関する規制緩和や資本要求の緩和、重要なレバレッジ規制の再調整、銀行の資本充足率やリスク管理体制などを評価する連邦準備制度理事会(FRB)の年次「ストレステスト」の見直しなどを目指している。銀行業界幹部3人が明らかにした。

トランプ政権1期目で米国のグローバル銀行はトレーディング規則の変更などいくつかの規制緩和を勝ち取ったものの、金融危機後の資本規制の抜本的な見直しでは期待された成果を上げることができなかった。この規制は米大手銀行に対し1兆ドル近い資金を蓄えることを義務付けているが、銀行側はこの要件が過度であり、その資金の一部は融資に回したほうが経済に貢献できると主張している。

ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は15日の決算発表会見で、政権交代が資本規制への新たなアプローチにつながることを期待するとし、「資本規制の透明性や明確性、一貫性の向上について建設的な議論ができる環境にあると思っている」と述べた。

レイモンド・ジェームズのアナリスト、エド・ミルズ氏は「誰がより大きな権力を持つかという点で振り子は行ったり来たりしている。その振り子が今、銀行に戻ってきている。これは15年来の変化だ」と語った。

金融業界は数カ月前からバイデン政権当局者の後任となる共和党規制当局者たちとの根回しを進めている。

米連邦準備理事会(FRB)のバー金融監督担当副議長は昨年提示した修正案で、自己資本の引き上げを当初19%から9%程度にするとしたが、関係筋によると、金融機関はこの数字をゼロに近づけたいと考えている。

金融機関にとっては明るい兆しがある。バー氏の後任の最有力候補である共和党のミシェル・ボウマンFRB理事はバー氏の政策に批判的であり、銀行業界に対する「現実的な」監督が必要だと主張している。

ロイター
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